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桐島、部活やめるってよ (2012)

監督
吉田大八
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3.99 / 評価:5982件

“アイツ”がいるから、の日々。

  • ゆみち さん
  • 2012年8月15日 16時26分
  • 閲覧数 4983
  • 役立ち度 113
    • 総合評価
    • ★★★★★

アイツがいるから、
毎日楽しい。

アイツがいるから、
やる気が出る。

アイツがいるから、
ホッともするし、

アイツさえいなければ、と
嫉妬だってする。


学生時代、それはあまりにも毎日が当たり前の様に過ぎていく日々。

これといった努力もせず、
色んな事をそつなくこなせるタイプの人間がいれば、

どう頑張ったって人並みにさえ追い付けない者もいる。


学校という限られた空間で繰り広げられる人間模様は、
まるで日々の人生の縮図。

そう、大人にだって当てはめられるのかもしれない。
いつだって物事を上から見ているヤツ、や、
誰かに寄生して自分の地位を守ろうとしているヤツ。

一見、なんの不満も無いように見えるエリートにだって、
一生懸命生きるヤツラを横目に、何故か湧き出る感情。

羨望なのか焦りなのか、
単なる嫉妬なのか。

例え思い通りにいかない時にだって、
学生時代、自分の回りにはいつも、
誰かしらの「影」があったように思う。

“アイツ”の象徴である“桐島”の描き方がいい。
そんな桐島はただの象徴であって、
“だからどうした?”と言われればそれまでなのだけれど、

なんだかんだと、人間は一人ぼっちでは何もできない。
タダ混乱して見せるしかできない、儚い生き物なのだ、と。


人との関わりなんて、面倒臭いだけ。
そんなもの無い方が楽かもしれない。


それでも、上下一切無い損得のないハズの状況下にあって、
色んな感情を抱えた人達が混じりあった空間が、
こんなにもシンプルでこんなにもストレートに混在する場所なんて、

後にも先にも、きっとあの頃だけだ、と思う。
(社会にも、たまに大人げないことする大人もいるけどw)


青春ってこうですよ、という「いかにも」な描写も、
これって「切ない」よね?という分かりやすいエピソードや、効果音もない。

部活とは子供たち自らが選び飛び込んだ世界。
それぞれが、社会という縮図の小さな箱庭の中で、

時にほろ苦く、時に甘酸っぱく、
痛みや労りを噛み締めながら、
自分なりの世界を悔いの無い様に邁進していく。


決して誰に押し付けられた訳でもなく過ごす青春時代。
誰もが自分なりに折り合いをつけて生きていく様は、

普通の邦画ならば、ドロドロと描かれそうなものを、
この作品ではとても後味が良く、サラリち描いて見せる。


そういえば、中学生になった自分の娘も、
最近じゃ何を話しても上の空。

「何でも話し合える親子が理想」とは、
よく聞く一般的な親の理想かもしれないけれど、

子ども同士で消化し合う貴重な経験を、どうか大切に過ごしてほしい・・
とも感じている今日この頃です。




見た者それぞれが抱えてきた環境に、上手くリンクさせ、入り込んでくる。
だからこんなにも押し付けがましくない、高校生達の色々が、
大人であるはずの私にも「グイグイ」と入り込んでくる。


吉田大八さん、前作『パーマネント野ばら』同様、
この監督作品とは、自分は相性がいいようだ。


神木隆之介くんと大後寿々花ちゃんしか知っている俳優が出てこない、

ほとんどがオーディションで役を勝ち取った子達が新人役者の子達。

そんなマニアック感全開のキャストが尚一層、
リアル高校生活を時に危なげに、時に小憎らしく描かれている、

個人的には『告白』以上の、
告白めいた学生っぷりを描いた秀作だと思う。
(ゾンビシーンで泣けたのは初めてだ、笑)

追記:できればこういう映画は、
「リアル高校生」には見せたくない、とも思う。


大人が、今になって振り替えるからこそ見える、
この映画はそんな位置付けであって欲しい。

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