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桐島、部活やめるってよ (2012)

監督
吉田大八
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4.00 / 評価:5844件

解説

早稲田大学在学中に第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのデビュー作を映画化した青春群像劇。学校一の人気者である男子生徒・桐島が部活をやめたことから、少しずつ校内の微妙な人間関係に波紋が広がっていくさまを描く。学校生活に潜む不穏な空気感を巧みにあぶり出したのは、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督。クラスでは目立たず地味な存在の主人公に神木隆之介がふんするほか、『告白』の橋本愛、『SAYURI』の大後寿々花らが共演する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

とある田舎町の県立高校映画部に所属する前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の学校の生徒たちは、金曜日の放課後、いつもと変わらず部活に励み、一方暇を持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、それぞれの日常を過ごしていた。ある日、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が退部。それをきっかけに、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012「桐島」映画部 (C)朝井リョウ/集英社
(C)2012「桐島」映画部 (C)朝井リョウ/集英社

「桐島、部活やめるってよ」格差社会の縮図としての高校生活を冷酷かつリアルにすくいとった作品

 一見、穏やかな週末の金曜日、バレーボール部のキャプテンで学内の人気者の桐島が部活をやめたというニュースが学校内を駆け巡る。桐島とは誰なのか。映画は、その金曜日のエピソードを、キューブリックの「現金に体を張れ」以来、お馴染みとなった、主要人物の視点を変えて何度も反復するスタイルで描き出す。その巧みな語り口によって、浮かび上がるのは、ありふれた高校生活の中で、帰宅部と運動部、文化部などさまざまに細分化されたグループによってゆるやかに形成された不可視なヒエラルキーの存在である。

 たとえば、桐島に象徴される<上位>グループと、ゾンビ映画を製作しているオタクな映画研究部に代表される<下位>グループは、同じクラスメートでもまったくお互いに眼中になかったりする。ただし、さりげない科白、眼差し、身振りを通して、彼らが密かに抱えている恋愛、欲望、友情、反目、嫌悪などのエモーションが垣間見えるだけだ。格差社会の縮図としての高校生活のディテールを、これほど冷酷に、リアルに、微苦笑をもって繊細にすくいとった作品は、近年、稀だろう。

 その虚の焦点である桐島の不在がきっかけで、上位から下位に至るグループが三つ巴となり、束の間、学校の屋上が、祝祭空間へと変貌するクライマックスは、自主映画世代ならではの稚気溢れる映画愛の噴出として永く記憶されるだろう。

 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で才気のきらめきを見せたものの、その後低迷気味だった吉田大八監督は、本作で紛れもなく<大化け>したといっていい。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2012年8月3日 更新

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