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きっと ここが帰る場所 (2011)

THIS MUST BE THE PLACE

監督
パオロ・ソレンティーノ
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3.51 / 評価:146件

解説

引きこもりの元ロックスターが、疎遠だった亡き父の願いをかなえるためアメリカ横断の旅に出る人間ドラマ。第61回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『イル・ディーヴォ』のパオロ・ソレンティーノ監督と審査員長を務めたショーン・ペンがタッグを組み、第64回カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞を受賞した。オスカー女優フランシス・マクドーマンド、U2ボノの娘イヴ・ヒューソンらが共演。タイトルの由来でもあるトーキング・ヘッズの名曲「THIS MUST BE THE PLACE」が心を揺さぶる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

元ロックスターのシャイアン(ショーン・ペン)は引きこもり生活を送っていたある日、故郷アメリカから30年も疎遠だった父親が危篤(きとく)だという知らせが届く。飛行機が苦手な彼は船でニューヨークへ向かうが、臨終には間に合わなかった。そして、かつて強制収容所にいた父が元ナチス親衛隊員の男を捜していたことを知ると、シャイアンは父の代わりに男を捜す旅に出る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2011 Indigo Film, Lucky Red, Medusa Film, ARP ,France 2 Cinema, Element Pictures. All Rights reserved.
(C)2011 Indigo Film, Lucky Red, Medusa Film, ARP ,France 2 Cinema, Element Pictures. All Rights reserved.

「きっと ここが帰る場所」アンバランスな人間が抱える痛みと哀しみ

 宣伝画像からは意図的に(?)排除されているようにも思えるのだけど、この映画はまず、ショーン・ペン扮する初老の元ミュージシャンの皺だらけの顔を見つめるところから始まる。過去の輝きを失った彼の現実を皆でじっと直視して、その皺とそこに刻まれた痛みと哀しみを皆で共有する。その決定的な何かを見ることの居心地の悪さと無力さを、そこにいる全員が全力で受け止める。それがこの映画を見ることである。

 そんなことを思わざるを得ないほど、主人公の痛々しさが目に刺さる。しかし一方で彼は、しっかりと株で大儲けしている。落ちぶれて哀しみに溢れたミュージシャンでもあり、同時に株で大儲けする人間。馬鹿げてはいるが、そんなアンバランスな人間が抱える痛みと哀しみを、この映画は伝えるのだ。

 哀しみはすべての人に平等である。だからこそ哀しみのどん底でも株で儲けることはできる。哀しみと経済的な成功とがまったくリンクしない哀しみが、そこにはある。まともに歩行も出来ず、よちよち歩きで買物をする主人公だが、しかし車の運転はうまい。頼りなさ過ぎる歩行とのあまりなギャップが抱える哀しみが、そこにはある。嫌悪感と親密さが同居する。帰る場所は果てしなく遠く、しかし気がつくとすぐそばにあるのだ。そんな遠近感の狂った愛おしさが、スクリーンからこぼれ落ちてくる。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2012年6月21日 更新

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