喜び広げよう 小さな僕たちだけど
- yab***** さん
- 2019年1月5日 22時52分
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離島の分校の子供たち。美しい歌詞に美しい歌声。
歌で、複雑な家庭に育った子供たちの結束を高めようとした先生の試みは間違っていなかった。
しかし、子供にも自我があった。ひとつなようで、みんなそれぞれに拘りがあった。だから、ひとつのことで、それぞれに思いが違っていた。それが大人になっていけばいくほど、その各々の歪みは大きくなっていく。
湊かなえの原作の題名は、「20年後の宿題」。みんなが当時の事故のことが気になっていて、当時の担任の先生に手紙を書く話。
この作品は厳冬の北海道の離島を舞台に、雪を撮らせれば天下一品の木村大作のカメラワークで、まるで「二十四の瞳」をコンパクトにしたような作品に仕上げ、美しい少年少女の純粋ながら揺れ動く感情を見事に描ききっている。
誰しもこんな時代があった。大人から見れば”天使の少年少女合唱団”が、中に入れば自分がソロをとりたかったとか、いろいろ子供同士が人間関係で悩んでいる。そして、大人と子供のフイルターの違いが、「20年後の宿題」としてこだまのように還ってくる。
♪喜び広げよう 小さな僕たちだけど あの青い空のように 澄み切った心になるように♪
子供たちの歌に涙が溢れる。小さな僕たちはそのままだが、澄み切った心にはなりきれない。それが大人・・・。
だが、教師はそれぞれの思惑を無視してまでも、澄み切った心になるよう祈り続ける。吉永小百合が教師役だと素直にそう思える。吉永小百合のおかげで、久しぶりに、ベタながら良き時代の日本映画を観るようだった。
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