レビュー一覧に戻る
アシュラ
2012年9月29日公開

アシュラ

752012年9月29日公開

みやさん

5.0

ネタバレもう一人のゴクウ

今の感覚から言えば、なんとも惨たらしく殺伐とした世界。しかしこれは本当にあったし、我々も飢饉などに遭い、一枚皮を向けば容易く獣に落ちる。 他者を喰らい、己の糧にする。 それが有機物の宿命。 人間の暖かさの中に育たないと、他の人間は喋るただの肉の塊。腹が減ったときに襲い、食うだけ。 しかし、食って生きるとはそういうことでもある。 可愛そうだとか、悲惨だとか救いがないと言ってこの作品を評価しないのは脳みそが無いに等しい。 今の時代でなく、応仁の乱の時代とはそのような時代だったのであり、我々はその延長線上にいるだけである。 道徳や、長い宗教の歴史の中で議論されながら醸成されていった善意があるからこそ、我々現代の道徳規範が出来上がっている。 ゴクウも人間として生まれ、じいちゃんが育ててくれなく、死がそばにいつも居る時代の中に育ち、他人に常に疎まれていたならこうなっていたのかもしれないのである。いや、力あるゴクウなら、奪う側にまわり、そうなっていると考えた方が普通であると感じる。声優が野沢さんだったことによって考えさせられた。 その悲しみの大海の中で生まれた一つの善意であるからこそ真に誠に尊く、私の心を打ったのである。

閲覧数902