あらすじ・解説
技術者のピエトロ(エンニオ・ファンタスティキーニ)が家長である、ジョルダーニ家。長男アンドレア(クラウディオ・サンタマリア)は外務省にに勤務し、次男ニーノ(ロレンツォ・バルドゥッチ)は大学で建築を専攻し、心理カウンセラーの長女ノラ(パオラ・コルテッレージ)は妊娠中と、それぞれが順風満帆な毎日を過ごしていた。そんなある日、三男の高校生ロレンツォ(アレッサンドロ・スペルドゥーティ)が交通事故で命を落とし、そのショックで精神が疲弊した母親アニタ(ダニエラ・ジョルダーノ)がガス自殺未遂を起こしてしまう。
シネマトゥデイ(外部リンク)
作品レビュー(11件)
- z65********
5.0点
血縁を超えた家族の物語だった。 家族になるということは、しがらみを持つということで、そこにはお互いに対する役割期待もあるはず…と、少なくとも日本人ならば思う。 ところがジョルダーニ家の人々は家族でありながら、それぞれが一人で自由に立つ。 徹底して一人になって、そのうえで関わりを持つ相手を選び、選ばれていく。 登場人物はいずれもとても強い人たちばかりだ。 固有の意思や感情を持つ自分自身を、何よりも大切にする人たちばかり。 父親は心を病む妻に寄り添いつつも愛人のもとに去るし、長女が「もう愛していないの」と誠実で優しい夫を突き放つというとても心が痛む場面もあった。 そんな中で、長男の同性愛パートナーの連れ子は強く健やかに育ち、難民の母娘はジョルダーニ家の中でゆるぎない立ち位置を確保し、次男と幼馴染の健全で対等なほほえましいエピソードを見せて映画は余韻を残しつつ終わる。 しかし、彼らの関係性はすべて危ういもので、決して安心できるようなものではない。 およそ甘えとか凭れあいを許さない厳しい個人主義のヨーロッパであればこその、家族の在り方かと思えた。
- sea********
5.0点
ネタバレ新しい家族観
このレビューにはネタバレが含まれています。 - mai********
5.0点
笑顔があったから… 優しさがあったから… 愛情があったから… ぬくもりがあったから… その悲しみを抱えきれなかった。 それまでの幸せが、重く、重くのしかかってきてしまった。 だから離れた。 もう戻ることはないはずだった。 最初は止むに止まれぬ事情からだった。 匿わなければいけない人との出会い。 すっかり冷たくなった家に帰った。 辛く苦しい夢すら見た。 でも… 出会いを感謝され、優しさを感謝され、出会いが出会いを生んで… 一人、また一人、その家に集う。 ただ苦しいだけの場所に、別の何かがもたらされていた。 新たな笑顔が 新たな優しさが 新たな愛情が 新たなぬくもりが その温かさが、元々の住人達を支えはじめる。 彼らを襲う新たな悲しみですら、優しさと愛情で包み込む。 血の繋がりだけではない絆が生まれていた。 そこはジョルダーニ家の家。 でもそこはジョルダーニ家だけの家ではない。 様々な出会いが生んだ“優しさ”に包まれた家。 今まで以上のぬくもりに溢れている場所。 6時間39分の感動。 圧倒的な時間の長さなど全く気にならない。 血の繋がりだけではない絆を持つことで生まれ変われることが出来た家族。 様々な問題が襲い掛かったけれども 新たな出会いが生み出した絆の強さが、それを乗り越えさせていた。 その出会いに感謝。 その出会いに感動。 そこにある優しさに感動。 6時間39分では描ききれなかった部分もあって… でもそれら気になる部分を余韻に残して、穏やかに幕を閉じる。 素敵な作品でした。
- bad********
5.0点
「輝ける青春」と同様に、メロドラマ的要素を積極的に取り入れても凡庸な通俗性に落ちない映画。それは恐らく映画自体が静かでトータルとしてとても美しいからでしょう。画面に惹きつけられると登場人物の心に沿って一緒に考えられるからでしょう。 映画館で400分近く座ってみる自信がなかったのでテレビ放映でみました。2話づつ2日間でみました。とても充実して楽しめました。(映画館で見ていたら、お尻の痛さに負けて集中力が持続しなかったかも...) 「輝ける青春」と同様、中心になるのは兄弟で他者への救いと責任がテーマの一つになっていたように思います。脇ではカタルド刑事が渋くてかっこよくて好きですね。 この映画をみて思いましたが、日本でも加賀乙彦さんの大河小説「永遠の都」「雲の都」なんかを映像化したら、こんな高尚な通俗性をもった見ごたえのあるドラマになるのではないでしょうかね。
- mu_********
5.0点
人類みな兄弟、助け合うのが当たり前と胸を張って言える日が来たら、どんなに平和な世界になるのだろう。現実的には、言うは易し、行うは難しと思います。この映画を通して、ほんの些細なことからでも、自分の周囲に何か起きたら、逃げずに助けるという事を始めてみようと思いました。 葛藤しながらも、それぞれが家族や他人のことを深く考え、痛みや喜びを分かち合っていて、羨ましく感じました。年齢は関係なく、悩み考え、失敗しながら生きている。その中に温かい光が見える瞬間もある。良くないことがあっても、それが人生で、それで良いという気持ちになる映画でした。
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