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セデック・バレ 第二部 虹の橋
2013年4月20日公開

セデック・バレ 第二部 虹の橋

WARRIORS OF THE RAINBOW II: RAINBOW BRIDGE/賽德克・巴? 彩虹橋

R15+1322013年4月20日公開

eigadays

5.0

これは近年稀にみる傑作。

これは近年稀にみる傑作。そう言って憚らない理由を挙げてみます。映画を通して訴えたいことに熱意が注がれているかどうかというのは大体わかると思います。どんな小品でも超大作でも映画監督の個人的な想いがふんだんに注がれている映画は人の心に響きます。ウェイ・ダーション監督がこの映画に注ぐ郷土愛を描くのに、侵略をした日本人の悪行を暴くということよりセデック達がどんなに自分たちの伝統としきたりを大切にして生きているかということに主眼を置いていることでその想いが伝わります。次にその主題を伝えるのに効果的なストーリーが選ばれていることが大切です。もし第一部で終わっていたなら映画的なカタルシスは得られても心には響かなかったでしょう。第二部で悲しみの歴史をきちんと描きながらあの象徴的なラストシーンでこの映画を閉じることで、世界中の観客に畏敬の念を抱かせることに成功しています。そして見事なのは演出です。非常に残酷な首切りという殺し方を「掟」として、妻たちの自決を民族の存続のためという「大義」として見せることを徹底したためそういうセンセーショナルなシーンの根底にあるメッセージ性の方が残虐性に勝って伝わってきます。日本人の描写も個々人のセリフや行動の積み重ねとして描いているので画一的でなく個性を持った狂気の集団という印象を立ち上げたことでセデックとの対比が明確になりました。映画の各所で挿入される詩歌、舞踏も緊張感をほぐすのに効果的。美しい森林の風景も凄惨な戦闘シーンとコントラストをなしていて見応えが生まれました。映画の力を信じた作り手が届けてくれた作品です。

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