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アイアン・スカイ (2012)

IRON SKY

監督
ティモ・ヴオレンソラ
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3.40 / 評価:494件

解説

世界各国の映画ファンやSFマニアから出資を募るや、約1億円ものカンパを集めてしまったことでも注目された、異色のSFアクション。第2次世界大戦で敗北したものの、月の秘密基地にひそんでいたナチス・ドイツが地球侵略作戦を遂行していく姿を活写する。メガホンを取ったのは、『スターレック 皇帝の侵略』で話題を呼んだティモ・ヴオレンソラ。奇想天外な設定もさることながら、ナチス的意匠を施したメカやガジェットのデザインも必見だ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1945年、連合軍の猛攻撃にさらされ、アドルフ・ヒトラーが率いていた「第三帝国」ナチス・ドイツは完全に敗北。しかし、その一部のエリートたちはひそかに月の裏側へと逃亡を図り、秘密基地を建造していたのだった。第2次世界大戦の終結から70年超にわたって独自の軍事テクノロジーを発展させ続け、虎視眈々(たんたん)と連合軍への復讐(ふくしゅう)の機会をうかがっていた彼らは、2018年、ついに決行のときが到来したと判断。UFOの大編隊を組んで、地球侵略を開始する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012 Blind Spot Pictures, 27 Film Productions, New Holland Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2012 Blind Spot Pictures, 27 Film Productions, New Holland Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

「アイアン・スカイ」人も映画もすべて編集=権力によって白にも黒にもなる

 ティモ・ブオレンソラ監督作「アイアン・スカイ」は、たとえば1970年代に作られていれば、「エル・トポ」から「ロッキー・ホラー・ショー」まで、サブカルチャー深夜族を作り出した<ミッドナイト・ムービー>にぴったりの映画として、やんやの喝采を浴びただろう。ちょうどベトナム戦争敗走後のアメリカで、この映画の女性大統領の「われわれがこれまで勝利したと言えるのはナチスだけよ」という台詞に観客はどういったシニカルな反応を示したか? ナチス先発隊の円盤が着地するのが、ニューヨーク郊外の密造マリファナ畑というのも<ミッドナイト・ムービー>のお約束に近い。

 ともかく、オバカ映画スレスレのブラック・コメディ。ナチスはジャズ的なもの、黒人的なものを<退廃、劣悪>として嫌悪したが、月面着陸した飛行士が黒人だった(これはアメリカ大統領の選挙対策人気とり)というのがこの映画の秀逸な発想である。ナチスの健全・健康・優越思想が、そのまま、アメリカ選挙戦の演説草稿となって、熱狂を呼び覚ますあたり、<戦時下>の大統領となることへの病んだ憧憬ともどもわれわれがこのところ目にし耳にする世界状況に認識はぴたりと当てはまる。アーリア系白人にされた黒人の右手が否応なく、ハイル……と上がるあたりは、キューブリック「博士の異常な愛情」であり、ヒトラー賛美短編と化したのが、チャップリンの「独裁者」だ。人も映画もすべて編集=権力によって白にも黒にもなるのである。(滝本誠)

映画.com(外部リンク)

2012年9月27日 更新

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