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アウトレイジ ビヨンド (2012)

監督
北野武
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3.65 / 評価:1,876件

解説

世界中から熱い注目を浴びる北野武監督が、巨大暴力団組織の内部抗争をバイオレンス描写たっぷりに描いた『アウトレイジ』の続編。前作で死んだはずの元山王会大友組組長・大友がまさかの復活を果たし、関東と関西の二大暴力団の抗争に組織壊滅を図る警察の思惑が絡み合い、その渦中に大友が巻き込まれていく。前作から続投するビートたけし、三浦友和、加瀬亮、小日向文世らをはじめ、新たに登場する西田敏行、高橋克典、新井浩文、塩見三省、中尾彬らの悪人ぶりが見もの。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

5年前、ヤクザ界での生き残りを懸け壮絶な権力闘争に明け暮れた暴力団「山王会」は関東の頂点を極め、政界にまで勢力を広げていた。彼らの壊滅を目指す刑事の片岡(小日向文世)は、関西最大の「花菱会」と対立させるべく策略を練る。そんな中、遺恨のある木村(中野英雄)に刺されて獄中で死んだはずの大友(ビートたけし)が生きていたという事実が持ち上がる。その後、出所した大友だったが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会
(C)2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

「アウトレイジ ビヨンド」キャリアを積んだ老境のヤクザたちの不敵な顔貌とその声の響き

 耳をつんざくようなヤクザ同士の怒号と饒舌なダイアローグの応酬という見立ての「アウトレイジ」で、鮮やかに<暴力映画>への復帰を遂げた北野武だが、この続篇では同行の手法をあからさまに踏襲しながらも、初期の傑作「ソナチネ」への言及が目立つ。

 冒頭、埠頭で心中を装って殺害されたカップルの乗った車体が海からクレーンでゆっくりと吊り上げられる光景、あるいは出所した大友(ビートたけし)が乗るエレベーターという密閉空間に漂う不気味な沈黙と間合い――、既視感を抱かせつつも、得体の知れぬ禍々(まがまが)しさを瞬時に画面にべっとりと滲ませる手腕は健在なのだ。

 加えて、背をまるめて猫背気味に歩く大友を引きとクローズアップで正面からとらえる長いカットが頻出するが、そこにはたけし自身の紛れもない<老い>のドキュメントが確信犯的に刻み込まれている。この映画の最大の見所はたけしのみならず、花菱会会長を演じる神山繁を筆頭に、キャリアを積んだ老優=老境のヤクザたちの不敵な顔貌を飽くことなく眺め、その声の響きに聞き入ることである。一方、スピッツのように甲高く吠えまくる石原(加瀬亮)やキレるチンピラを演じたら当代随一である新井浩文など若手がコケにされまくりで好対照を形づくる。

 関東VS関西というヤクザ組織抗争勢力図の拡大、警察との気色悪い裏工作のディテールやプロットの組立はきわめてオーソドックスで、かつての激烈な北野映画批判者であった笠原和夫の作劇術にますます似てきた。ラストなどほとんど「仁義なき戦い」第1作への屈折したオマージュにしか見えない。案外「アウトレイジ」5部作なんていうのもありかもしれない。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2012年9月27日 更新

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