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オードリー
2012年6月9日公開

オードリー

672012年6月9日公開

Riku

1.0

とてもお金を取れるようなものではない。

青春映画というロゴを付けただけのエロシーンのない質の低いアダルトビデオのような出来。発想、舞台、セリフ、脚本、カメラワーク、何から何までが非常に安易。もしこれが大学のシネサーの自主制作映画であれば何も文句は言わないが、三十近いいい大人がビジネスとしてそれなりの金と労力を費やしてこれを作ったとあれば批判したくもなる。「彼女たちは制服という戦闘服を着て社会と闘っている」などという自らの性的指向を正当化するようなつまらない持論を展開する前に今後の人生を考えたらどうだろうか。このまま映画監督として生きていけばまず間違えなく先はない。映画というものは映像媒体である以上、ストーリーもさることながら面白い映像を撮る必要がある。高校の文化祭などというありきたりで使い古されたシチュエーションであれば尚更、独創的で斬新な見せ方が要求される。まず始めに今作にはそこに対するプライドが微塵も感じられない。食卓の映像は常にサザエさん方式の固定撮り、人物が喋っているにも関わらず無駄に続く引きの画、突然意味なく何もない空を数秒間映す、工夫の欠片もない部室や図書室の場面、監督の頭の中にこのシーンはこうあるべきなんだというどんなに大きな主義主張があったとしても、見ている側はつまらないとしか感じない。ストーリーは言うまでもなく薄っぺらく、監督のコンプレックス丸出しの虚構の青春がお遊戯会レベルの演技とともにたらたらと流れる。わずか1時間7分というショートムービーにも関わらずテンポも悪い。悩める主人公に第三者の目線として助言するフィクション感溢れる茶道部の先生の言葉も恐ろしく浅い。大人は結局浅いことしか言わないという勝又監督のメタファーなのかもしれないとも考えたが、一連の流れから見ればそれもないだろう。とにかく売り物として見れば一銭の価値もない作品である。ここまで長く批判を連ねたが、文化祭終わりのフォークダンスのシーンはすごい。シュールさという視点で見れば芸術に近い。たとえ映画史に微塵も残らないとしてもこのシーンだけは私の心に強く残ることだろう。

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