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フランケンウィニー (2012)

FRANKENWEENIE

監督
ティム・バートン
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3.63 / 評価:544件

バートン監督こだわりの白黒人形アニメ

私は人形アニメの「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」が大好きで、初公開時とデジタルリマスター版の再公開時の2回、映画館に足を運んだ。そのときにいずれも同時上映されていたのが、白黒の短編映画「フランケンウィニー」。出演者はシェリー・デュバルとダニエル・スターン、そして「ネバーエンディング・ストーリー」でバスチアンを演じた子役バレット・オリバー。なかなか豪華な顔ぶれであった。

オリジナルは1984年に作られたというから「ナイトメアー・・・」よりも9年前ということになる。上映時間はほぼ30分で、ストーリーは他愛ないものだったが、出演者の若さに目を奪われたものだった。再公開時は、さらに白黒の人形アニメ「ヴィンセント」が同時上映され、こちらは1982年の作品だという。いずれもティム・バートン監督の独特の世界観が80年代前半から確立していたことが分かる、貴重な時代資料といえる。

今回観たのは、短編実写映画を人形アニメで再映画化した2012年度作品で、日本では翌年の正月映画として公開された。孤独な少年ヴィクターが雷の力で愛犬を生き返らせるという、基本的なストーリーはオリジナルに沿っているが、リメイク版は登場人物の数が増え、付属するエピソードは派手なものになっている。極彩色の「アリス・イン・ワンダーランド」の向こうを張ったように、あえて白黒で撮影したところに、バートン監督のこだわりを感じさせる。

観た印象を一言でいうと「ナイトメアー・・・」とどこまでも対照的な作品ということだ。「ナイトメアー」が華麗な祝祭をイメージするのに対して『フランケウィニー』は静謐な葬式を思わせる。本作はミュージカル作品ではなく、耳に残る印象的なナンバーはない。ハロウィンタウンの化け物が大騒ぎするのと違って、ちょっと変わったキャラはいるが平凡な町を舞台にしているだけに、どうしても地味な感じは否めない。そういった事から、個人的評価は満点ではなく★4つとなった。

本作のキャラクターは細面にまん丸の目に点のような瞳という、独特の風貌をしている。「悪魔くん」などの水木しげるや日野日出志のマンガ、あるいはムンクの絵画「叫び」を連想させる。基本的に無表情な彼らが、コンパスが回転するように細長い手足を動かすところが、夕暮れ時に人々の影が長く伸びている光景を連想させ、独特の味を漂わせている。
キャラの中で強烈なのは、白猫を抱きながら不気味なことをいう老婆のような少女「不思議ちゃん」。彼女が作り出してしまう猫とコウモリの合成怪物もインパクト大だ。また、指の長いせむし男のような少年は「ナイトメアー・・・」の悪ガキ3人組の一人に似ており、大きく開いた口は、松本零士の四畳半ものマンガの主人公を思わせる。

ほかにフランケンのような少年とか、マッドサイエンティスト風のジグルスキー先生(マーティン・ランドーが声を当てている)が印象深い。日系人らしい少年トシユキは野球が得意な優等生タイプだが、野球選手のイチローをイメージしたものだろうか?ガメラが出てくるところでは笑ってしまった。
もうひとり、ヴィクターの隣に住む少女エルザは、市長の命令で町のフェスティバルに出演し、蝋燭の立った帽子をかぶって不気味な歌を歌う。舞台となるニュー・オランダという町にはいわくありげな歴史があるようだが、「さまよえるオランダ人」という怪談が関係しているのだろうか。この辺はピンとこなかった。

エルザの声をウィノナ・ライダーが当てている。彼女はバートン監督の出世作「ビートルジューズ」のリディア役で大ブレイクし、名作「シザーハンズ」でトップ女優の仲間入りを果たす。ボーイッシュな美貌が魅力だったが、精神的に弱いところがあるらしく「ゴッドファーザーPART?」の大役を降板し、万引き事件を起こして失墜してしまう。最近では「ブラック・スワン」に出演したが、落ちぶれた元プリマの役で昔のイメージは見る影もなかった。もう一度当たり役を得て復活してくれるよう祈ってやまない。

キャラクターが基本無表情と書いたが、ヴィクター少年が愛犬の死を悲しみ、無表情のまま涙をこぼすシーンは、意外にグッとくるものがある。画面は「ナイトメアー・・・」に比べて地味なのだが、さまざまな日用品が理科の実験室風に並べられた屋根裏の描写や、「ペットセメタリー」を思わせるペット墓地の風景は、その禁断の香りにワクワクさせる。
上映時間が1時間27分とコンパクトで、映画のテンポが良いのも魅力だ。人形アニメというのは非常に制作に手間がかかり、そう沢山は作れないだろうが、なくなってしまうには惜しいジャンルである。かつての怪獣・恐竜映画がデジタル技術にとって替わられた今、バートン監督にはこのジャンルにこだわって作り続けてほしいものだ。

詳細評価

物語
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