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ふがいない僕は空を見た (2012)

監督
タナダユキ
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3.60 / 評価:538件

解説

『赤い文化住宅の初子』『百万円と苦虫女』のタナダユキがおよそ4年ぶりに監督を務め、窪美澄の小説を映画化した青春群像劇。男子高校生と主婦の不倫関係を中心に、ごく普通の人々が直面する生きることの葛藤や性への衝動を映し出す。第24回山本周五郎賞受賞の原作の登場人物をダブル主演で演じ切ったのは、『ぱいかじ南海作戦』の永山絢斗と『ハッピーフライト』の田畑智子。狂おしくて切なく、そしていとおしさや驚きに満ちた何げない日々の描写が胸に突き刺さる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

高校生の卓巳(永山絢斗)は友人と出掛けたアニメの同人誌販売イベントで、アニメ好きのあんずこと主婦の里美(田畑智子)と出会う。やがて二人は深い仲になり、里美は卓巳に自分の好きなアニメのキャラクターのコスプレをさせ、情事にふけっていた。そんなある日、卓巳は前から気になっていた同級生の七菜(田中美晴)に告白され……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012「ふがいない僕は空を見た」製作委員会
(C)2012「ふがいない僕は空を見た」製作委員会

「ふがいない僕は空を見た」純粋な悪意だけが彼女を「団地」の外へ連れて行ってくれる

 団地は我々をとらえ、縛りつける。「ふがいない僕は空を見た」において「団地」とは我々を束縛する牢獄の象徴だ。主人公の親友と一緒にコンビニで働く少女は言う。「何をやったって無駄だよ。どうせあたしたちは団地から抜けられないんだよ」将来もなく、可能性も見えない過酷な現実。自分の悩みを伝えることができる相手もどこにもいない。「ふがいない~」の登場人物はみなそれぞれの事情を抱え、どうしようもない閉塞感にとらわれている。彼らはみな「団地」の住民なのだ。

 田畑智子演じるあんずは心の通じない夫との関係に倦み疲れ、そこからの出口をコスプレ・セックスに求める。憧れだった魔法少女のコスプレをし、高校生の美少年と激しく睦みあう。そのときだけは、彼女はここではないどこかに行けるのだ。だが二人のセックスは何者かに盗撮されている。その写真が学校じゅうにばらまかれ、少年は学校に行けなくなってしまうのだ。

 実は二人の写真をばらまいているのはコンビニで働く少女である。彼女は別に主人公へ恨みがあるわけでもないし、義憤にかられているわけでもない。それは無意味な、純粋な悪意だ。その悪意だけが彼女を「団地」の外へ連れて行ってくれるのだ。彼女に共感した親友は二人で盗撮写真を撒き散らす。それがこの映画のもっとも美しい場面である。(柳下毅一郎)

映画.com(外部リンク)

2012年11月9日 更新

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