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ペイド・バック

ペイド・バック

THE DEBT

113

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5.0

秀逸なスパイ映画

予想以上に出来の良い、上質なスパイ映画でした。 何故本作が日本では劇場未公開のソフトスルー作品になったのか、理解に苦しみますね。 まあアクション満載の大作映画では無いので、大々的に全国のシネコンで拡大公開するのもどうかとは思いますが、小規模で劇場公開する価値は十分あったと思いますし、劇場で正規の料金を払って見ても全然惜しく無い、そのぐらい秀逸なスパイ映画だったと思いましたよ。 ヘレン・ミレン、サム・ワーシントン、ジェシカ・チャステイン等々のキャスト陣を見ても、ネームバリューで見劣ることは絶対無いと思いますし、内容もめちゃくちゃ面白かったですから、本作が劇場公開されなかったのは本当に不思議でならないですし、本作があまり多くの方の目に留まらずひっそりと埋もれてしまうのは勿体無さ過ぎだと思いましたね。 さて気を取り直して内容の方ですが、本作は1965年にイスラエルの秘密諜報機関モサドのメンバー3人(ステファン、デイヴィット、レイチェル)が担った東ベルリンに潜むナチスの戦犯ヴォーゲルの誘拐任務に関する顛末と真相が、30年の時を経て明らかになっていく・・・祖国の英雄3人に隠された真実とは一体!と言ったような内容となっていました。 序盤にいきなり結末のようなシーンが出てきた時は、そのシーンがどう言った経緯で起こったのかを見せる映画なんだと思いましたが、なんのなんの・・・そう単純な話では無かったですね。 時間軸をずらしながら、徐々にその裏に隠された真相に迫って行く、思いっ切りスリリング且つサスペンスフルな展開が待っていました。 これぞスパイ映画!と思わされましたし、物語にグイグイと引き込まれてしまいましたね。 脚本、演出、役者の演技、どれをとっても一級品と言える作品だったと思いましたよ。 モサド諜報員の3人の人物設定がしっかり確立されていたので、序盤からスンナリ物語に入り込めたのがまず好ポイント。 スパイ映画はホント取っ付き難い映画が多いですからね・・・。 それから、若かりし頃を演じた3人と老齢に達してからの3人のイメージがピタリ整合していて、全く違和感を感じなかったのも好ポイントでした。 特に主人公であるレイチェルを演じたヘレン・ミレンとジェシカ・チャステインの2人の存在感が本当に素晴らしかった! まあヘレンの存在感は言わずものがな、この映画は何と言ってもジェシカ・チャステインの演技・存在感あってのものだったでしょうね。 ヘレンほどの大女優の若かりし頃を演じても見劣るどころかむしろそれ以上の存在感を示すのですから、ジェシカは本当に大したものです。 若かりし頃のレイチェルVSヴォーゲル、そして30年の時を経て繰り広げられた老齢に達したレイチェルVSヴォーゲル、その対峙シーンは、本作の最大の見所と言えるぐらいハラハラドキドキさせられました。 30年間3人が抱え続けた負債の処理をしようと奮闘する終盤のヘレン・ミレンのスパイっぷりは、「エクスペンダブルズ」のオジサン軍団にも負けないぐらいの奮闘振りでしたね(笑) また、ナチスの戦犯ヴォーゲルを演じたイェスパー・クリステンセンのしたたかな演技にも舌を巻きましたね。 見た目は極々普通の中年医師でしたが、心の中の邪悪さと言ったらもう・・・半端無い! ユダヤ人をこれでもかと扱き下ろすヴォーゲルが、本当に憎たらしく思えました。 3人のリーダーであるステファンを演じたマートン・ソーカス→トム・ウィルキンソン、そしてデイヴィッドを演じたサム・ワーシントン→キアラン・ハインズに関しても勿論素晴らしかったですよ。 特に、武骨で正義感は強いけど女性に対してはちょっと奥手な若かりし頃のデイヴィッドを演じたサム・ワーシントンが物凄く嵌り役だった印象で、初めて彼に役者としての魅力を感じれる作品に出会えたかなと(笑) 奥手なデイヴィッドと女性の本能を抑えきれないレイチェルの関係が、何だか本当に切なくて、もどかしくて・・・何気に結構ツボでした。 スパイ物としても上質でしたが、そこで展開された三角関係も本当に見応えたっぷりでしたね。 まさに一粒で二度おいしい作品でした。 まあソフトスルーのマイナー作品ですけど、私的にはかなりの大当たりでした!

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