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ペイド・バック

ペイド・バック

THE DEBT

113

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4.0

つきまとう悲劇の影

 ナチスは映画史において一番多いとされる題材である。    この悲劇の元ネタはアウシュビッツ・ビルケナウ収容所における残虐医師ヨーゼフ・メンゲレとモサドの追跡劇であろう。     メンゲレもアルゼンチンへ逃走し、最後まで捕獲されず、川で溺死体となって発見された。いつもモサド追尾との恐怖の日々を送ったとされる。  2012年現在、『ゼロ・ダーク・シティ』が公開中である。  かの映画も、当映画と同様、米CIA女性分析官と、テロリストの首謀者の追尾を描いている。共通するのは、女性スパイ、国家の威信、正義とは何か、悲劇の代償である。  米映画はいまも尚、アラブとの確執から逃れられない。アカデミーの対抗馬は『アルゴ』だし、ビグローの過去作『ハートロッカー』etc…。  米国はまたユダヤ系が多く、その代表格は。スピルバーグだろう。彼の秀作『ミュンヘン』は、まさにこの当映画と見比べれば、いっそう、イスラエル=モサドとアラブ諸国との複雑な関係を垣間見える。  スピルバーグが代弁するように、ユダヤ教徒と、アラブ、ナチスドイツはこれからも、多くのテーマ性をもった作品を世に送り出すのではないか。  ヘレンミレンは好演であり、彼女の若き頃を演じた女優さんも同様、『ゼロダーク…』におけるCIA職員の内面の葛藤を彷彿させる名演である。S・ワシントンも意外な演技派であることも分かりました。    この映画がアカデミー選考対象日より遅れたせいか、あまり話題にならなかったのがちょっと不思議です。 

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