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危険なメソッド
2012年10月27日公開

危険なメソッド

A DANGEROUS METHOD

PG12992012年10月27日公開

kih********

5.0

本当に『危険』で悩ましい人間の関わり

 “リビドー” って言葉を久しぶりに耳にした。フロイトもユングも懐かしい。若い頃、それなりに生かじった。全共闘が学園封鎖をしていた頃のことだ。  今では、フロイトもユングも(私の中では)過去の人になったかの感がある。しかし、この映画のタイトル『危険なメソッドA Dangerous Method』については現代の深刻な課題だ。益々、危険で悩ましい問題といえる。  例えばその精神神経科における、医師と患者の関係。ラポート(信頼関係)が前提とか必須とか言われる。その通りではあるが、どこまで、あるいはどのように可能であるか、それは医師のキャパと患者のニーズで決まることで、一律ではない。危険なのは、うっかりすると“ミイラ取りがミイラに”ということだ。いや、うっかりではなくて、真摯になればなるほどということだ。  例えば、民生委員と生活弱者の関係。どこまで入り込んで相談にのるか、救援するか。良心的であればあるほど身動きがとれなくなる。一緒に沈没ということもあり得る。  例えば、お役所の窓口と市民。「決まりですから」と決まり文句で突き放してばかりでは信頼関係はない。だからといって、親身になって対応していたら身を崩すことにもなり兼ねない。  例えば、学校の先生と生徒の関係。例えば“命の電話”の相談員と相談者。その他にいくらでも例がある。ユングがいう、「友」の関係。成程そうだが、そうは言っても……、という『危険なメソッド』、「悩ましい関係」を、彼は身をもって事例化してくれた。今もなお、『危険な』「悩ましい」ままだ。

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