レビュー一覧に戻る
危険なメソッド
2012年10月27日公開

危険なメソッド

A DANGEROUS METHOD

PG12992012年10月27日公開

shi********

4.0

背徳と劣情と確執と愛憎のスケベ人間ドラマ

精神心理学の二大巨頭・フロイトとユング。 この2人の確執と、1人の女性をめぐる愛憎の物語。 20世紀初頭、ユング(マイケル・ファスベンダー)のもとに精神を患った美しい女性 ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)が運び込まれる。 学が高く、医学を志望していた彼女だが、幼い頃に受けた父親の折檻に大きな影響を受けていた。 そしてその折檻で彼女が得ていたのは快楽だった・・・。 地位も名声もある心理学者でも、これほど美しい女性が被虐性愛者、つまりドMとなれば劣情をそそられずにはいられない。 彼女は患者という立場ながらユングの仕事を手伝い、またユングは妻も子もありながらも彼女との行為に溺れていく。 フロイトはユングより19歳年上で、ユングは彼を師として仰ぐところはあるのだが、裏では批判もする。 このフロイトがユングに患者として紹介するのが、心理学者でもある男・オットー(ヴァンサン・カッセル)。 ミイラ取りがミイラになったような存在にも思えるが、この男は欲望に忠実。 トホホなほど忠実でおもしろい。 だがこの男の存在がユングの感性を乱し、不道徳な道を示したとも思える。 数年にわたる彼らの姿を描いており、いきなり場面が飛ぶようなところもあり少々戸惑いもしたが、全編緊張感がみなぎり、見応えある作品である。 功名心、劣情、背徳、罪悪感、嫉妬。 名声の裏に潜む歪んだ感情がじわじわとにじみ出る。 ユングを演じたマイケル・ファスベンダーが見事。 こういういわゆる「むっつりスケベ」な役はハマり役。 フロイトは何でもやたらと性的なことに結び付ける「インテリスケベ」、オットーはほとんどビョーキな「オープンスケベ」、と男性陣はみなさんスケベ。 そこにドM美女が現れれば化学反応は必至。 また、フロイトのユングの師弟関係もやがては決別へと向かうのだが、この時の手紙のやり取りがおもしろい。 そんな彼らの様子を興味津々で拝見したわけだが、このように観る側の心理も「スケベ心」というわけだ。 演技陣の好演も素晴らしいが、かつてのホラーメーカー、デビッド・クローネンバーグの演出も見事。 ここ数年はかつてとはまるで違う作風の作品を連発し、どれも成功しているのだから恐れ入るしかない。 堅苦しい文芸モノのようなイメージもあったが、それを崩さずして物語に引き込む手腕は見事。 それぞれの揺れる心理にこちらも揺られ、いい意味でグッタリとくる作品である。 余談だが、この日は本作直後に「終の信託」、その直後に「アルゴ」と、どれもいい意味でグッタリくる見応え絶大な3本を連続鑑賞。 グッタリ3連発にはさすがに疲れたが、これぞ映画バカには至福。 大満足の一日だった。

閲覧数943