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第七の十字架

第七の十字架

THE SEVENTH CROSS

110

bakeneko

5.0

ネタバレ極限状況で生き残るのに最も必要なのは幸運

実際にナチス政権からの脱出亡命経験があるドイツ出身の女流作家;アンナ・ゼーガースが1942年に発表した傑作サスペンスを、(オーストリアから移民してきたユダヤ系ドイツ人で1941年に監督デビューしたばかりの)フレッド・ジンネマンが監督したもので、原作を上手にダイジェストしつつ“誰が味方で誰が敵か判らない”状況下での逃亡の緊迫感で惹き込んでくれます。 1936年10月のある月曜日。ナチスの思想犯強制収容所から、指導者を含め、反ナチ活動家、教師、作家、軽業師、農民ら、七人の男が脱走する。収容署長は見せしめのために庭に7本の十字架を立てて、脱走者を磔刑に処すると宣言し大掛かりな追跡が始まる…というお話で、7人の脱走者が次々と捕まる中で、必死で逃げ回る反ナチの闘士:ゲオルク(スペンサー・トレイシー)に焦点を当てて、様々な出会いと危機を活写してゆきます。 まるで、「大脱走」終盤のトンネルを使って収容所から逃走した後の捕虜たちの様々な逃亡手段エピソードを観ているかのような脱走サスペンスで、偶然に左右される展開に人間の運命の不可知性も提示してゆきます。 主人公が邂逅するー嘗ての恋人、通りがかりの幼児、一緒に逃亡した仲間の知り合い、昔の親友…らの誰が敵で誰が味方か?でハラハラさせながら、同時に脱走した彼を何とか助けようとするレジスタンスたちとのすれ違いでも一喜一憂させる―緊迫した脱走劇で、 実の弟がナチスに入党している状況、逃亡犯を悪人として通報する一般市民や、逃げ込んだ親友宅で友人がヒトラーの経済政策を賞賛するなど、当時の一般的なドイツ人の状況もリアルに語られていて、そのことが主人公の四面楚歌感を一層強調しています。 また、戦後もお婆ちゃん役で息長く活躍する女優たちの若き日の美貌を観ることが出来る作品で、 元恋人のレニを演じたカーレン・ヴェルネ(22歳) ウエイトレス:トニを演じた「天国は待ってくれる」のシグネ・ハッソ(27歳) 親友の妻:リーゼルを演じたジェシカ・タンディ(33歳―「ドライビング・ミス・デイジー」の46年前です) 軽業師に衣服を渡すはずだった舞台衣装係:マレリを演じたアグネス・ムーアヘッド(42歳―TV「奥さまは魔女」のサマンサの母親エンドラになる21年前です) の適材適所での登場もお見逃しなく! ねたばれ? 1、冒頭の脱走シーンで、主人公に支給される拳銃はワルサーP38! 1938年から製造された銃なので1936年のお話には…と思っていたら、ぬかるみにズブズブと沈んでゆきます。 2、いくら本作がアメリカ映画だからって、原作の主人公の名前:ゲオルクをジョージにするのは興ざめだなあ…

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