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スペシャル・フォース (2011)

FORCES SPECIALES/SPECIAL FORCES

監督
ステファヌ・リボジャ
  • みたいムービー 15
  • みたログ 270

3.24 / 評価:136件

国粋主義的前提に立てば

  • sho***** さん
  • 2016年7月24日 22時13分
  • 閲覧数 2508
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

 まず最初に、この監督は全フランス人兵士とジャーナリストに捧げる為にこの映画を作ったと言っている。
その前提を持っていれば私もある程度寛容に観賞できたのかもしれない。
あるいは、実際に起こった出来事をもとに描かれた映画であれば良かったかもしれない。
しかし、この映画はあまりにも稚拙で逆に全フランス人兵士とジャーナリストを侮辱しているようにしか思えない。
 物語はフランス国籍の特殊部隊が、タリバンに捕まったフランス国籍のジャーナリストを救出するという内容であるが、各登場人物がコミカルなほどキャラ立ちして描かれている。
 フランス兵側はマッチョリズムでカッコいいTHE・特殊部隊として描かれ、各人得意技があり、基本的な戦闘能力もタリバンをはるかに凌駕するという描かれ方だ。
 かたやタリバン兵はというと、某ゲームメーカーの○国無双よろしくバッタバッタとフランス兵に倒されていく。
戦争映画である以上、敵兵の描かれ方は似たようなものだが、タリバン側の主導者はというと、これまた漫画アニメの悪者のように悪くて怖い奴だぞーという表現を強調したいがのごとく、人を殺す時にスローモーション演出を多用したり、前振りもなく人を殺したりと無慈悲で残虐なキャラクターとして描かれている。
 しかし、ちょっと待てと言いたい。
フランス兵もジャーナリストもタリバン兵もその主導者も人間である。
人間と人間が殺し合うことが戦争の悲惨さであり不条理であり悪意であると思う。
その状態に至るまでに、タリバンの人たちにも人生があり、社会があり、為すすべもなくその状態に進まざるを得ない状況があり、その状況を作る支配者層の想像力の欠如と、悪意があるはずだ。
また、兵士たちはその事を理解し、それでも国の為、社会の為、そして国にいる愛する人の為、という信念を持ち、それらの事柄を心の奥に押し殺し戦っている。
また、ジャーナリストは、過酷な状況においても真実を写し取る為、それを知らない人に問題提起するため、そして現地の人たちを救うために命をかけて取材をしている。
 それらのことをこの映画は一切無視して、タリバンは悪い、フランス人ジャーナリストはけなげだ、フランス人特殊部隊はつよくてえらい、といった単純な勧善懲悪物語にしてしまっている。
 この映画を、冒頭に書いた監督のメッセージを読んで、愛国主義的作品なのだと知った上で観ればそれはそれで良かったと思えるのかもしれない。
しかし、事前情報もなく、またフランスに思い入れがあるでもなく、日本人で、休日になんでもいいから適当に映画でも観るかという気持ちでこの映画を観るのは全くお勧めできない。
この映画は監督のメッセージ通り、フランス人兵士とジャーナリストと愛国主義者の中でも無思慮で単純な人だけが楽しめるように出来ている。
そして、この映画はタリバンに所属する人々の人格を貶め、フランス人兵士とジャーナリストの苦悩と生命を冒涜している。
 私には、この映画はまさに、タリバンの悪者とまったく同じキャラクターで主義主張を持った、想像性を欠き悪意に満ちた支配者階級が、人々の命を冒涜し、殺し合い、世界に不条理と悲惨を撒き散らす戦争を増長させる為に作ったとしか思えない。
そういった意図を楽しめる人以外は観るべきではない。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 絶望的
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