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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q (2012)

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解説

長きにわたり人気を維持し、メディアミックス展開も積極的なテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を映画化した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ第3部。最終章に向けて、誰もが予測不能な物語が展開する。制作陣は前2作同様、総監督の庵野秀明や、鶴巻和哉、摩砂雪らの面々がそろう。劇場版ならではの迫力ある映像表現に加え、結末に向けてどのようなストーリーとなるのかに注目。

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あらすじ

諸事情によりストーリーを記載しておりません。

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映画レポート

(C)カラー
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「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」救いなき展開でファンをどん底に突き落とす庵野の帰還

 巻頭に古めかしい東映ロゴが出た時点で不穏な気配を覚えた。今回の配給会社の親会社ではあるが、旧劇場版の配給ロゴが付くのは新劇場版で初めてのこと。たちまち、エヴァ終幕をめぐり熱狂と嫌悪が渦巻いた90年代後半の記憶が脳裏をよぎる。予感は的中した。極上のアニメーション体験であることに変わりはないが、前作で高みへと向かったポジティブな生命感はない。躁のあとに鬱に襲われた感覚。ヱヴァを愛するファンを、どん底に突き落とすかのような毒気。あの庵野秀明が還ってきた。

 世界はほぼ終末を迎え、惨憺たる状態のまま前作から14年も経っているという残酷。3・11後とのシンクロ率も高い地獄絵に息を殺すなか、ヒト型兵器搭乗者は“EVAの呪縛”によって成長しないという悲哀が明かされる。その時間経過は最後の旧劇場版公開からの歳月と同じであり、ヱヴァに依存しすぎた観客へ現実感を促す仕掛けにも思える。衝撃的なのは、主人公シンジに対する拒絶の言葉だ。「もう乗らないでいい」。自我の殻に籠もっていた少年がロボットに乗り戦うことで、現実の重みや生の痛みを知る物語の否定。少女を救うための決死の行為が引き金となって、世界が崩壊寸前に陥ったことへの代償だ。英雄的行為が仇となり、疎外され贖罪を背負った苦悩が重苦しく全編を覆う。何という救いなき展開なのか。

 新劇場版とは旧作の変奏曲ではなく、ループやパラレルに思える瞬間もある。シンジを慰撫し真実を告げるカヲルは連弾の際、「気持ちいい音が出るまで同じことを何度でも繰り返せばいい」と諭す。この反復の精神にこそ、庵野が創り続ける真意が込められているのは確かだろう。愛と希望を見出す、絶望からの再構築の完結を見守りたい。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2012年11月22日 更新

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