レビュー一覧に戻る
R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私
2013年2月2日公開

R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私

R15+1062013年2月2日公開

ymo********

1.0

営業に屈した駄作

「女による女のためのR-18文学賞」の大賞と言う聞いたこともない文学賞を受賞した作品を映画化したものですが原作は未読な上にこの文学賞の目指すものもよくわからないのですが、好きな竹中直人さんが監督ということもあり鑑賞しましたが期待には応えてもらえませんでした。 ”ありとあらゆる性癖を持った人がいる” ”ある秘密の快楽にとりつかれてしまった一人である” ”それもある日突然に” 物語は、学生時代に自縛の魅力に取りつかれてしまった百合亜(平田薫)は、そのことが恋人に知られてしまったことから別れることになります。 ”以来彼女が自縛することはなかった” 大学を卒業して広告代理店に就職することになり平穏無事に過ごしてきましたが、主任に昇進して二人の個性的な部下と新プロジェクトに取り組むうちに不安とストレスから再び自縛を始めてしまうことになるのです。しかし、その行為は次第にエスカレーターすることになり・・・・。 とにかく、やたらと説明的です。登場人物にしても一々竹中さんのナレーションと絵で説明が入りますがあまり必要がないどころか不要でなおかつテンポやリズムが悪くなるだけです。これ以外にも登場人物たちのセリフも説明的で口にする必要もないことを親切にしゃべります。もちろん、SМや自縛の世界には解説が必要かもしれませんが・・・。 また、出演者もペニオク芸人を含めて多用される芸人の配役にはうんざりします。製作会社等の大人の事情なのかはわかりませんが、これが竹中監督の望んだ配役なのでしょうか。稚拙で雑な演技を笑えるほどの度量はありません。 そして、この個性的な出演者が曲者です。主人公の特殊な性癖が際立ちません。特殊さというのは周りとの変化の差異によるのですから周囲の人々が特殊ならばそれに同化してしまいたいして特殊にはなりません。 しかし、最大の問題は自縛のシーンです。 シャワーシーンやベットシーンはあるのに自縛では服を着たプレイのみで裸での縛りはありません。描かれるのは服を着た自縛のみでそれも逆光や部分的な撮り方などとにかくぼやかします。もちろん服を着た自縛もありでしょうが、せっかく自分で苦労して縄を鞣したのですから直接に縄の感覚を味わいたくなるものではないでしょうか。プレイがエスカレートすればおのずと過激になるのは道理であり肉体を縛りあげるような禁慰な行為であれば当然裸に直接縄で縛りあげたくなるでしょう。また、感じ方は人それぞれでしょうが、そこにはある種の美しさもあり、それにより特殊性だけではないものも浮かび上がるような気がします。ベットシーンにおいても上半身のみが映し出されて相手の男性は全く映らないのも不自然の極みまです。 つまり、エロもエロスもなく、またそれに伴うリビドーですら感じられません。 特殊な性癖を持つ女性を取り扱いながら非常に淡泊なのです。自縛の描き方が曖昧なために自縛にはまる人々の葛藤も中途半端にしか伝わりません。自縄自縛のブログがその手がかりになるかと思いきや単なるメールのやり取りのきっかけに使われたのみであまり活用されていません。Rー18にしたくなかったためでしょうが、「R-18文学賞」の大賞受賞を謳いながらRー18を避けてどうしようというのでしょうか。 本筋以外の細部もつまらない笑いはあるのにつくりが雑です。 通販で買ったAVやアダルトグッツの梱包が厳重なのは常識ですが、主人公の買ったロープや手錠などのSМグッツの梱包の緩さや登場するカフェや居酒屋の店員が料理を運んできて料理の目の前で大声で***でございますなどということはあり得ません。唾が飛びますし、こんなことはバイトの初日に教えられことです。 アダルトグッツにしても、飲食店の店員にしても小ばかにしているようにしか感じられません。 ”助けて、死んじゃう” 自縛がばれた常務が首にロープをかけて引っ張ってくれと頼みながも結局は死ねないのも自縛が単なる性的な趣味嗜好だけではない助けを求める心の叫びなのでしょすが、そのことも中途半端なコミカルさのなかでうちけされてしまいます。 「営業に屈した駄作」 一言でいえばこれに尽きます。特定の芸人を使うのもRー18を避けるのもよくある話です。もちろん監督の苦悩もあるでしょうが竹中さんが好きなだけに残念です。

閲覧数1,106