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ザ・マスター (2012)

THE MASTER

監督
ポール・トーマス・アンダーソン
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3.29 / 評価:486件

カルトの実像に迫るフィクション

  • morecambeandwise さん
  • 2018年8月9日 1時50分
  • 閲覧数 880
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

実話かなと思ってあとで調べたら、サイエントロジーなどいくつかのカルトのムーブメントを取り混ぜて一つのストーリーに仕立てたようですね。オウムの例を見ているだけに、展開が気になっていましたが、あんまり社会的な大事になる、というよりは個人の精神世界の物語として描くのが目的だったようです。

日本が相手の太平洋戦争の終結でも、ベトナム戦争同様、トラウマを抱えてスムーズに社会復帰できない人がいた、というのはあんまりちゃんと考えたことがなかったので、ハッとしました。主人公のフレディはそんな人。カルトの教祖ランカスター・ドッドに出会うことで、自己の再発見をしたような気になって、番犬のようについて回ることに。ドッドはドッドで、暴力的だけど忠実で、強力な合成酒を作ってくれるフレディを可愛がる。奇妙な共生。

家族ですら、そのインチキさにうすうす勘づいている似非哲学。ドイルとかがはまった降霊術に近いものを感じます。それでも社交界には一定割合ではまる人が。そんなカモの一人をなぜかローラ・ダーンがやっていて、え?こんなところでオールヌード?とぶっ飛びますがみんながんばってます。

ちょっとわかりにくいのが、ドッドが単に詐欺として確信犯でこれをやっているのか、それとも自分なりに信じてやっているのかというところ。人格者のようでいて、でも行き詰まると人に当たり散らす。一生懸命やっているようで、どこかいい加減。教義が行き詰まりを見せたなら、人が離れていきそうなものだけど、それでもそこそこ人は集まっているようだし。情報が広まるのが遅い時代だったから河岸を変えながらあちこちでやればそこそこだまされる人がいた、ということでしょうか。

フレディが離れたきっかけ、というのは本が売れなかったこと、うさん臭さにそこそこ気づいたことだったんでしょうか。故郷に戻って婚約者ドリスを訪ねると、3年前に他の人と結婚して子供も二人いて遠くで暮らしていると。親にそれを聞いているフレディの態度が、礼儀正しくもなれず、怒りもあらわにできず、ちょっとリアルすぎて怖い。その足でドリスを殺しに行きはしないか、と心配になりました。でもそんなことはなくて、映画館でぼーっとしていると電話がかかってくると。これが夢だ、ということなのかどうなのかわかりませんが、どうしてそこにいることがわかったのか、どうしてドッドがイギリスにいることがわかったのか、いろいろ謎です。そして、いったいどれだけの時間が経っていたのかもわかりにくかったです。教団を離れてから、何年も経っていたのですかね。

そんなわけで、いろいろ腑に落ちないことが後半に立て続けに起きたのですが、どうせカルトを描くならもう少し決定的なインシデントが起きるべきなんじゃないかな、と思ったりもしたのでした。

ドッド役のフィリップ・シーモア・ホフマンは、若いころからいろんな映画にちょい役で出ているのをちょこちょこ見ていましたが、この作品が最高傑作じゃないのかな、と思いました。ディカプリオとマット・デイモンの地味なところと演技力を集めたような人で、好きでしたがドラッグ中毒で亡くなってしまったのは残念。エイミー・アダムスは「魔法にかけられて」の主演が印象的でしたが、亭主をコントロールする奥様役でだいぶたくましくなられた。フレッドと少しつきあうデパートのモデル役がエイミー・ファーガソン。ちょい役なのにいい脱ぎっぷりですね。フレディ役のホアキン・フェニックス、この作品ではすごくいけてない感じをうまく出してますが本当はイケメンなんですよね。「バックマン家の人々」で子役を演じています。来年公開予定の「ジョーカー」で主演の予定だそうです。

詳細評価

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