2013年1月26日公開

塀の中のジュリアス・シーザー

CESARE DEVE MORIRE/CAESAR MUST DIE

762013年1月26日公開
塀の中のジュリアス・シーザー
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

イタリアのローマ郊外にあるレビッビア刑務所の重警備棟では、服役囚たちによる演劇実習が行われている。所内にある劇場に一般の観客を招いて行う今年の出し物は、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」に決定。そしてオーディションが始まり、麻薬売買で服役中のアルクーリや所内のベテラン俳優のレーガらが続々と集まって来る。

シネマトゥデイ(外部リンク)

作品レビュー(28件)

知的17.9%かっこいい14.3%切ない10.7%不思議8.9%不気味7.1%

  • 一人旅

    4.0

    刑務所内ローマ帝国

    第62回ベルリン国際映画祭金熊賞。 パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督作。 ローマ郊外の刑務所を舞台に、一般客に披露する演劇実習に臨む囚人たちの姿を描いたドラマ。 『父/パードレ・パドローネ』(1977)『カオス・シチリア物語』(1984)『グッドモーニング・バビロン!』(1987)のタヴィアーニ兄弟によるドキュメンタリータッチのドラマ。実在のレビッピア刑務所を舞台に、演劇実習としてシェークスピアの「ジュリアス・シーザー」に出演する囚人たちの姿を描く。なんと、囚人役は服役中の“本物”の囚人を起用。実在の囚人が実在の刑務所で演劇の稽古&本番に臨む様子をリアリティたっぷりに描く(ただしドキュメンタリーではない)。このような、現実と映画が不思議とない交ぜにされた作風はアッバス・キアロスタミの『クローズ・アップ』(1990)を彷彿とさせる。ウソとホントの境界線が曖昧で、まさに芸術ポイントの高い意欲作。ちなみに、劇の本番シーンはカラーだが、稽古シーンはすべてモノクロという独自の映像センスも印象に残る。 『es [エス]』(2001)のように、与えられた役柄に同化してゆく囚人たち。シーザー役を与えられた囚人はシーザーになり切り、ブルータス役の囚人はブルータスになり切る。囚人たちは刑務所内のあらゆる場所(中庭・図書室・廊下etc...)で稽古を行う。それも囚人らしからぬ真剣さで。しかも、それぞれの稽古が「ジュリアス・シーザー」の物語に順番通りに沿っているため、まるで刑務所が古代ローマ帝国に変貌を遂げたような感覚に陥る不思議。背景は完全に刑務所だし、囚人もラフな現代的服装なのだが、稽古があまりにも緊迫感に満ちているのでそうした錯覚を生む。囚人たちによる本格稽古が行われる最中、上方から看守がその様子を見物したり、稽古中の囚人が舞台のセリフ以外の言葉を発するなど、幾分の“現実”が入り込む演出が秀逸。 囚人の一人が最後に呟く「芸術を知ってから、この監房は牢獄になった」のセリフが胸に迫る。不自由と芸術の相反する関係性。刑務所という不自由の中で行う演劇(=芸術)は、芸術に目覚めた囚人の芸術欲を完全に満足させるには至らないのである。 現実と映画が絶妙に交錯した異色作。囚人たちの演技も真に迫る。

  • fg9********

    4.0

    こんなにも大絶賛されてイイもんかいの~

     …あらすじは、解説のとおり。  『プルータス!お前もかっ!』ぐらいしか知らないシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を、実際の刑務所内で、実際の受刑者たち(終身刑クラスも多い)が演じるというのだから、日本においてはとても信じられない内容。  きっちりとオーディションまで行われ、見るからに厳つい強面のオッサンたちが必死で演じる姿は興味深々だ。  その練習風景がドキュメンタリータッチで描かれるが、どこからどこまでが演技の練習で、ここからここまでは重罪を犯して服役している本人の悔恨の吐露?と勘違いするほどの役者顔負けの迫真の演技に圧倒される。  冒頭と結末で、刑務所内の劇場で本番を演じる場面があるのだが(ここのみカラーで後はモノクロ)、観客から割れんばかりの拍手が起こり大絶賛。  しかし、ひとたびその芝居が終われば、一人また一人と、独房に収監されるシーンは印象深い。  だが、終身刑というからには、その被害に遭われた人々もいるはずだから、こんなにも大絶賛されてイイもんかいの~という変な疑問を感じたことも事実なので☆一つ減じた。

  • s06********

    2.0

    ネタバレ思っていたより普通

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • いやよセブン

    3.0

    ドキュメンタリー?

    実在の刑務所で、服役囚がシェークスピアの「ジュリアス・シーザー」を演じるもので、役者ではないのが凄い。 オーディションから始まり、ほとんどが舞台劇のシーンだが、時々、囚人だと思い起こさせてくれるシーンが入る。 素人なのにこのレベル、恐れ入った。

  • じゃむとまるこ

    5.0

    虚と実のはざまに存在するもの。

    タヴィアーニ兄弟監督作は『グッドモーニング・バビロン』しか鑑賞していないので作風は今一つわかっていなかったけれど、予告を観て以来の期待作、どこに期待?と言えばシェイクスピア劇「ジュリアス・シーザー」を演じる役者さんの面構えの迫力が半端ではなかったので、というのが大きい、そして傑作独特のオーラが予告篇の行間から放たれていたように思うから。期待は外れてはいなかった、傑作鑑賞後の独特の余韻に酔わされる出来であった。 ローマ郊外にあるレビッビア刑務所、重警備棟の囚人たちが定期的に行う演劇実習をオーディションから本舞台終幕までを活写する、それだけのことでドキュメンタリーを編集しているようにも見えるが、そうではない。 結末の舞台を冒頭にカラーで深い色調で迫真の演技で魅せてくれる、客席のスタンディングオベーション、そこからがモノクロになり、あいにくと劇場改装中のため刑務所内の各所で行われるオーディションや練習の様子が映し出され、演劇にのめり込んでゆく囚人たちが次第に虚構と現実の間を行き交うことになる。 果たして彼らはシーザーを、ブルータスを演じているのか、いや犯罪者としての彼ら自身の本当の姿を確認しているのか迫真の演技、さながら刑務所内はローマ帝国の様相を帯びてくる、観客も巻き込んで。 そのクライマックスのさなかカタルシスを伴って「ジュリアス・シーザー」の舞台は冒頭のカラーシーンに戻り私たち観客も我に返る。 その後の鉄格子がはまった二重扉の中に収監される囚人たちの心の変化は観客の私たちの心そのもののように思える。 虚構と現実のはざまに存在するもの、それこそが真実であり絵画であり演劇であり文学であるのだと、目に見えないもの、それが人というものを支えるのだということ。 齢80歳を過ぎてなお人間の可能性を追求するパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督の情熱と野心(と言ってよいのかどうか)には敬服する、傑作。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

ベルリン国際映画祭第62回

金熊賞

基本情報


タイトル
塀の中のジュリアス・シーザー

原題
CESARE DEVE MORIRE/CAESAR MUST DIE

上映時間

製作国
イタリア

製作年度

公開日

ジャンル