ここから本文です
【お知らせ】映画館の上映スケジュールについて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、実際の上映時間と異なる可能性があります。ご不明な場合は、各劇場にお問い合わせくださいませ。

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 (2012)

LIFE OF PI

監督
アン・リー
  • みたいムービー 417
  • みたログ 3,463

3.73 / 評価:2,023件

解説

世界的な文学賞ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」を、『ブロークバック・マウンテン』などのアン・リー監督が映画化。動物園を経営する家族と航行中に嵐に遭い、どう猛なトラと一緒に救命ボートで大海原を漂流することになった16歳の少年のサバイバルを描く。主演は、オーディションで選ばれた無名のインド人少年スラージ・シャルマ、共演にはフランスの名優ジェラール・ドパルデューが名を連ねる。227日間という長い漂流の中で、主人公がどのように危機的状況を乗り越えたのかに注目。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1976年、インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)の一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012 Twentieth Century Fox
(C)2012 Twentieth Century Fox

「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」命の尊さを思い知る宗教的体験に昇華する漂流譚

 荒れ狂う洋上の奇跡的な体験の果て、人生で大切なことを悟る凪がやってくる。純然たるファンタジーにも、リアルな漂流映画の範疇にも収まらない。文学的なルーツは、ありえない出来事と現実との融合が奇妙なリアリティを醸成するラテンアメリカ発の魔術的リアリズムであり、ビルドゥングスロマン(自己形成小説)が混ざり合う。つまりは、運命に翻弄された少年の成熟を描く過酷な神話だが、なんとも豊穣な味わいを残してくれる。

 回想で進む物語は3つのブロックから成る。幼少期、いじめからどう脱したか。動物たちと共に移住する船旅で大海原に投げ出された少年は、なぜ生き延びることができたのか。そして中年になった主人公が、静かに語り伝える現在。始まりは日常だが、やがて超自然的なビジュアルの大波を顔面に浴びせかけて稀有な体験に同化させ、さらには嘘のような話は本当に起きたことなのかと問う入れ子構造によって、脳内にまで嵐を巻き起こす。

 白眉は、3Dならではの効果を活用した全編の7割以上を占める漂流のシークエンス。アトラクション的効果を超え、豊かな寓意によって、希望を失わずに生き抜くためのさまざま知恵を授けてくれる。最も重要なのが、救命ボートに同乗することになるトラという獰猛な存在だ。当初は、逃げ回り敵対するのだが、次第に共闘することで、大自然に立ち向かう必要性を実感していくプロセスは感動的である。絶体絶命の下、ただ生きながらえるのではなく、脅威を身近に感じることで緊張がみなぎり、自らの衰弱を防いで生命力を保つ。トラは捕食者ではなく、守護神だったのかもしれない。摩訶不思議な漂流譚は、命の尊さを思い知る宗教的な体験にさえ昇華していく。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2013年1月24日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ