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相棒シリーズ X DAY (2013)

監督
橋本一
  • みたいムービー 120
  • みたログ 843

3.39 / 評価:463件

ある意味「アルゴ」を超えていた!

  • tos***** さん
  • 2013年3月6日 15時58分
  • 閲覧数 942
  • 役立ち度 66
    • 総合評価
    • ★★★★★

 最初は、普通の社会派サスペンスだと思って甘くみてました。

 実際、テレビの方で培った雰囲気を大事にしながら、映画的なスケール感を持たせた話ではあるのですが、それ以上に、洒落にならないほどメッセージ性が強いことに驚きました。

 これは政府がデフォルト(債務不履行)に陥ったときの対策を秘密裏に練っているという問題をテーマにしています。

 例えば、「アルゴ」では、過去に起きた史実を掘り起こし、数々の困難に打ち克って、国のために働く主人公を英雄的に描くことで、政治的なプロパガンダという側面も持った作品でしたが、この作品は逆です、

 こちらも正義感に燃えた公務員が、自分の任務に忠実に、数々の困難に立ち向かうのですが、その行き着く先というのは、国家としては最も触れて欲しくない問題だったという作品でした。
 フィクションであるからこその、単刀直入に問題点だけあぶり出せる強みと反骨精神を感じました。

 というのも、現実問題として、日本政府が積み重ねてきた借金を考えると、いずれ財政が破綻する可能性が高いというのは、その通りなので、本当に財務省はこの映画と同じ事はやっているだろうと思うからです。

 同時にこの作品に出てくる通信傍受法案というのも、現実に国家安全保障基本法案として、現政府が水面下で精力的に国会で通そうと動いているのと符号しています。 

 日本人が当たり前に抱いている国家に対する信用というのが、実はけっこう洒落にならないほど根拠の無いもので、いつかそれに疑問を感じはじめた時、一気に信用は崩壊し、国家は破綻してしまうという問題を扱っています。

 作品では、そもそも国家というのは、政府のものなのか国民のものなのか、希望のウソより絶望の真実に向き合う勇気を持つべきではないかといったところまで突きつけてきます。

 今回の二人は杉下右京に比べれば主人公としてのカリスマ性に欠けますが、逆にその分メッセージ性そのものが前面に浮き出て、作品としてのインパクトが上がっていると思いました。

 特に、後半からは、表面的なストーリーを超えて、テーマが暴走し始めるので、洒落にならない真実味を持って迫ってきました。

 そして、そのままメッセージ性だけを明確にしてから、作品を安易にまとめることはせず、「難しいことは分からねえよ」と観客の想像力に丸投げして終わります。
 瞬間、ゾワッと寒気がして、そんじょそこらのホラー映画では太刀打ちできない恐怖感を感じました。

 絵空事と切り捨てれば、なんとなく難しい金融用語が飛び交って、消化不良のまま中途半端に終わるみたいな作品とも言えるのですが、読み解きようによれば、これ以上無いほと深刻な、エンタテイメントの衣を被った、政府告発の作品でもありました。

 ハリウッド映画を観てよく、こんなことは日本映画では絶対に出来ないと思うことがありますが、こんな手法があったのかと感心しました。

 ちなみに杉下右京は今回ロンドン休暇中です。なので、出演はワンシーンだけ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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