君はビン・ラディン以外に何をしてきたんだ
- rxt***** さん
- 2020年9月7日 18時02分
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共和党の反発から全米公開日は当初の予定から選挙後に変更されたが、現職大統領(オバマ)の再選が危ぶまれる時に、現職大統領の最大の功績をヒロイックに映画化したもので、ある種のプロパガンダ映画ともとれる。
「アブ・アフメド」という男とビン・ラディンとの関係を探るCIAイスラマバード支局情報分析官である主人公・マヤの執念は狂気に近く、支局長に激しく詰め寄る姿は迫力十分。
クリントン政権時代に予算と人員を大幅に削減された悔しい経験を持つCIA全面協力の本作は、その丁寧かつ緊迫感のある出来映えには目を見張るものがあり、常に爆弾テロと隣り合わせのリスクを背負う緊張感やクライマックスの襲撃シーンは見応え十分だ。
CIAによる拷問シーンもしっかりと描き、一見公平な作品のように見えるが、基本的にアメリカ側に悪人が出てこないのが逆に面白い。
とは言え、少しでもアメリカ政治や情報活動やテロ犯罪等に興味があって、まだ未見の方にはお薦めする。それだけの作品構築力が本作にはある。
高卒で勧誘されてCIAに入局し、12年のキャリアを持つマヤ。ビン・ラディンの分析調査の域を越え、「殺してやる」に変貌してゆく姿をビグロー監督は良いとも悪いとも何の説明もつけていないが、地道な調査と追跡と情報入手に黙々と従事するヒロインの姿を、それこそ報道カメラのように追っていく。
クライマックス直前、CIA長官がマヤに質問する場面が印象的。
「君はビン・ラディン以外に何をしてきたんだ?」
「何も………他には何も。」
「じゃあ、適任だったんだな。」
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