ここから本文です

さよならドビュッシー (2012)

監督
利重剛
  • みたいムービー 109
  • みたログ 863

3.21 / 評価:563件

ピアニストは手首で呼吸する

  • yab***** さん
  • 2020年3月5日 21時00分
  • 閲覧数 385
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

豪奢なお屋敷に住む金持ち一家。
 祖父が死に遺産でもめる兄と弟。兄は銀行員だがリストラでうだつがあがらない。弟は売れない漫画を描き続ける。妹夫婦は移住先のスマトラ沖地震で死去。兄の娘の遥と妹の娘のルシアは従妹同士だが家族同然に育つ。
 祖父は生前漫画が売れなくて実家に居座る弟に言う。
「おまえは夢に生きているんじゃなくて夢の中で生きているんだよ」
 そう、夢の中で生きている一家。生活の実感がない。この家に住む限り食いっぱぐれがないと思っている。
 火事があって死者が出ても揺るぎない経済力。
 そんな家庭環境にピアノは定番。それもモーツァルではなく、ドビュッシーというところが渋い。
 幼少の頃、近所にはお屋敷みたいな家が多かった。どこの家かわからないが、結構ピアノの音が聴こえてきた。上手い下手は別にして、僕は、その音色は僕の知らない富裕層の特権なんだと感じていた。
 そんな金持ちの道楽的なモードを打破してくれたのは、ピアニスト清塚信也だ。ピアノのタッチが道楽をこなごなに打ち叩く。
「ピアニストは手首で呼吸する」
 彼が言うと説得力がある。リアリティのない金持ち一家の中で、唯一のリアリスト。
 斉藤孝は、「退屈力」という著書で次のようなことを言っている。
「クラシックを聞くことが、何かの役に立つとか、何かの手段になるといったものでなくて、それ自体が最終的な喜びをもたらしてくれるというところだ。それが、芸術の持つ価値である」
 清家信也のおかげで、中途半端なミステリー作品が、芸術的な色彩を帯びて喜びをもたらす。ドビュッシーを知らなくても聴きたくなる。清家の影響力は思いのほか大きい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ