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藁の楯 わらのたて (2013)

監督
三池崇史
  • みたいムービー 385
  • みたログ 7,286

3.91 / 評価:5954件

狂気的

  • sib******** さん
  • 2021年7月9日 10時01分
  • 閲覧数 532
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

以下、2019年の自分がメモに残していたレビュー

最初の銘苅が自宅に帰って仏壇に備えるときに、奥さんの声が聞こえるシーン。
私はそれがこの映画の肝だと思っている。
銘苅は作中でも言われていた通り、死者の声に従ってこの3年間仕事があって生きてこられた。殺さずにすんだ。
普通の人間だったらきっとどっちも無理だけれど、銘苅の場合は、幻聴が無ければ殺していた。この一見正義漢に見えて実際は自分で作り出した妻の幻聴に従っているだけの、狂ってる人間が銘苅だと思った。

この銘苅という人物は蜷川を説得するシーンで、「死者の声を聞け、そうしたらこんな事してほしく無いって聞こえるはずだ」というようなことを語りかける。蜷川はそれにキッパリと「死者は喋らない」と、銘苅がこの3年生きる支えにしてきた幻聴は、ここで他人からそんなものは無いと言われる。

自分で作り出した幻聴に縋らないと生きていけなかった、でも死者は喋らないのであれば、彼は本当は正義の道しか歩めないのかもしれない。
彼は、最初の方から防弾チョッキがあったけれど、清丸を守る為に撃たれにいっている。私は本当は彼は死にたいのでは無いかと思ったけどきっと違う。彼はとても正しい事ができるような人間なんだと思う。
幻聴まで作るほど正しさから逃れられない人間なんだと思う。

どこまでも正義を貫く銘苅を刺した清丸の
「すっげぇ」がいつまでも耳から離れない。

清丸はどこまでもクズで変わらない。
母親の死を知って清丸は自分の死を泣きながら悟ったのだと思う。だからこそ白岩を殺した。「オバさん臭かったから」は適当な理由付けで、殺したかったからが理由にならないのならばそう言う他無かったのではないか。
どこまでも生に貪欲な彼の矛盾する言葉に困惑して、腹が立ってくる。
「誰が死んだんですか?」と笑いながら問いかける姿は思わず空気読めよと思ってしまうくらい。
清丸は欲に従順な男だ。だから白岩が、目を離した隙にも少女に“いたずら”をしようとする。そんな彼も母の死で泣き。どうせ死ぬならもっとやっとけばと思うのだろう。そして生にも貪欲でいられるんだ。
彼の頭の中はとても単純なんだろうけど、誰にも理解できないし、したくない。被害者の父親に「あの子は良かった」と語り出すのは本気で狂っている。どこかズレているので無く、根本から間違っている。
そんな彼を感嘆させた銘苅も同様に狂っているように見えてくる。
似ているようで真逆な彼等の夏の青空のシーンは狂気的だった。
本音をぶつける銘苅と、それを高笑いで楽しんでいるような清丸のシーンはマジで超最高シーン。
ここで最初の幻聴の伏線が回収されて、清丸への殺意が露わになるシーン、清丸の狂気。全部が最高。

それでも銘苅は殺さない。自分の中の正義のために殺さない。やっぱり狂っているように見えるよ。

もう一度立ち戻って冒頭の奥さんの幻聴のシーン。これって違和感があるのに普通に感じられるくらい、この3年間銘苅は幻聴の奥さんと暮らしてきた。その年数、期間、時間。を感じられる、彼はこうやって暮らしてきた。幻聴と暮らしてきたんだ。
この一瞬のシーン、日常のシーンまで、彼はこんな状態なんだよ。

やっぱり狂ってるよね……。


清丸は純粋だなー。歩きたくないからうずくまる。母が死んだから泣く。おじさんはベトベトしてるから嫌。気持ち悪い。触られたくない。
ああ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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