ここから本文です

DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る? (2013)

監督
高橋栄樹
  • みたいムービー 32
  • みたログ 230

3.46 / 評価:139件

☆少女たちは、もがき、苦しみ、夢を追う☆

予め、お断りしておきますが、
私は、AKBファンではありませんし、
AKBのメンバーの名前と顔は一部しか覚えていません。
と、言うよりは、卒業メンバーと顔がようやく一致した程度の
知識しかありません。

私の子供の頃のアイドルであった、キャンディーズ以降、
長年、アイドルの変化を客観的に見てきた世代としての
レビューとなります。

結論から言えば、
この映画は、アイドルのプロモーション映画でもあるし、
ドキュメンタリー映画としても、中々の出来栄えではないかと思う。
つまり、AKB48の過去の出来事を通じ、
今という時代のアイドル像を描き、
そして、今の時代の社会や世相の空気を浮き彫りにする。

幼少の頃のアイドルがキャンディーズだった頃の世代として、
今のアイドルを客観的に見ると、
かなり等身大の位置へと変化していると思います。

かつてのアイドルは、夢を売る商売。
アイドルは恋をしない。下ネタは御法度。
華やかな世界と対峙するリアルな姿を見せるのはタブーの時代。
恋愛等のスキャンダルが発覚するとなれば、一大事件。
スキャンダルがもとで、
二度と、ステージへ戻ってこなかったアイドルをかなり見てきた。

AKB48のコンセプトは『『会いにいけるアイドル』。
ファンとの距離が近くても、決して超えてはいけない壁がある。
所謂、『恋愛禁止』という、掟。或いは、疑似恋愛という関係。
この距離感が縮まり、一線を超えること。
AKB48の事件を見ると、
ファンとの距離感の危うさが、結果的にはAKB48を有名にしてしまい、
映画の面白さに繋がってしまうのは皮肉な話だ。

一般的な世界とは異様で閉塞的な世界に見える、AKBの世界。
それでも、センターで歌うことを目指し、AKB内で切磋琢磨という、
競争が毎日繰り広げられている。

この映画で描く世界はシビアな世界だ。
センターを目指す少女たち。
センターを目指しても、努力が報われない少女たち。

センターという頂点に立った時に、
孤独で見えない重圧と闘う一部の少女たち。
そして、卒業という形で、あらゆる状況から解放される少女たち。
しかし、卒業後の少女たちが、再びスポットライトを浴びる人が
皆無に等しく、如何に、AKBのブランド力でトップに立ったのかを、
突きつけられる現実。それに今でも、苦しんでいる少女たち。

これは、ある意味、社会や会社という組織と重なって見える。
光が当たる人、光が当たらない人。
今という時代を味方につけたと思ったら、
僅かな時の流れで、過去の遺物となる。
『総選挙』というカンフル剤かつ、競争結果の負の遺産を産み、
格差という社会と重なってしまう。

本作では、東京ドームの初コンサートのシーンがありましたが、
サブタイトルは『1830mの夢。』
これは、秋葉のAKB劇場から東京ドームまでの距離だそうです。
この1830mの意味は、一端で無名なアイドルユニットが、
東京ドームでコンサートする程、
ビックになるに必要な夢の重さの意味もあります。
当然、1830mの夢は実現できました。
次は何を目指していけばいいのでしょうか?
そして、AKBは何処を目標にしていけばいいのでしょうか?
そういう不安感をこの映画を観て感じます。

今作は、☆満点。
これが、今の時代のアイドルの姿なのかもしれない。
今という社会を投影し、
それでも、アイドルの鉄板である、夢を求め、夢を売る。
その世界に少女は飛び込み、苦しむ。

その姿を決して、哀れに思ってはいけないし、
見下すことはできない。

少なくとも、閉塞感が蔓延して、
何をやっても無意味が当然の今の世界では、
少女たちは、美しく見える。
そして、もがき、苦しみ、センターを逃した、
多くの少女たちの涙は、
決して、無駄ではないと、私は思うのです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 楽しい
  • 勇敢
  • 切ない
  • かわいい
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ