『この戦争は一体何だったんだ!』
- fg9***** さん
- 2017年4月5日 14時13分
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…1997年に発表されてベストセラーを記録した、妹尾河童の自伝的小説の映画化。原作は未読だが観てみる。
…あらすじは、解説のとおり。
太平洋戦争最中の軍国主義という荒波に翻弄されながらも、自らの価値観を損なうことなく乗り越えた家族の話し。
少年Hの父親・盛夫を水谷豊が演じ、妻・敏子を実生活でも夫婦の伊藤蘭が演じる。
盛夫は家族思いの優しい実直な洋服の仕立屋で、神戸に住んでいる外国人の客が多く、また妻の敏子も敬虔なクリスチャンなので、観ている方としては、これから軍国主義の荒波に向けていかなる舵取りをするのか大いに気になるところだった。
盛夫は華奢な身体ながら消防団に入って国に尽くすものの、案の定警察からあらぬ嫌疑をかけられて拷問紛いの取り調べを受ける。
敏子は率先して隣組の組長となって、持ち前の頑張り屋さんを発揮する。
少年Hは、疑問が直ぐに口に出るタイプなので父親から注意を受けるが、水谷豊が演じる父親が実に良い。
ただ叱り飛ばすのではなく、諄々と物静かに諭すように教え込むのだ。
『新聞やラジオが、いつも正しいことを報道しているとは限らない。』
『僕ら日本人より、外国人の方がこの国の置かれている状況を解っているのかも知れない。』
話しが長くなりそうなのでこの辺で止めるが、最後に少年Hの苦悩の叫びを記しておく。
『この戦争は一体何だったんだ!』
一見の価値は十分にある作品だった。
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