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少年H (2012)

監督
降旗康男
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3.82 / 評価:765件

この戦争はいったい何やったんや

  • たーちゃん さん
  • 2021年8月11日 8時56分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

戦前戦中戦後を妹尾肇(吉岡竜輝)の目を通して、妹尾家の父妹尾盛夫(水谷豊)母敏子(伊藤蘭)妹好子(花田優里音)に起こった出来事によってその時代の人々の生き方を描いた作品です。
肇にとっては理解できない事が多かった事でしょう。

とても優しいうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が特高に捕まったり、女形の下山幸吉(早乙女太一)が出征した先で脱走し、首吊り自殺をしてしまったり。
ステプル先生から届いたエンパイアステートビルが描かれている絵ハガキをもっているだけで、スパイと思われてしまう時代です。絵の得意な肇が景色や軍艦を描いただけで、スパイと思われてしまうので止めるように言われたりします。

「アカ」って何?
うどん屋の兄ちゃんが捕まり、そこの主人(山谷初男)も捕まった時に肇が父に尋ねるシーンがあります。盛夫が共産主義という当時の国の思想とは違う思想で、その思想をすると罰せられる事を説明します。人はみな色々な考え方をもっていて当たり前なのに国が一丸となっていかなければならないために厳しく取り締まられる事を説明します。
盛夫の仕事は洋服の仕立てをしていたために、それだけでスパイと思われてしまったりします。
警察で盛夫は仕立て屋として大切な指を拷問によって、痛めつけられます。
それのきっかけになったのは肇が学校の友達に絵はがきを見せたのが、きっかけでした。
友達さえも信用出来なくなる出来事は肇にとっては、とても苦しい出来事だったでしょう。
友達を憎む肇に父は友達を恨むのではない事を諭します。
絵はがきを見せた事で友達は苦しんでいる事だろう。彼はただ絵はがきの事を話しただけに過ぎないのではないか。
「戦争が終わった時に恥ずかしい人間になったらあかんよ」
父の言葉で友達を許す肇でした。

考え方の違いだけで罰せられたり、人種の違いだけで迫害をうけなければならないこの時代。

中学生になった肇は学校で人を殺す事を学んだりします。
兵隊になるための予備校であると教える田森教官(原田泰造)です。
原田さんの傍若無人ぶりが、良かったです。

肇の学校でのひとコマ。肇の同級生がクラスで大和魂についてクラスメートに演説しているシーンがあります。少年は肇に「お前は玉砕できるのか」と問います。肇は「玉砕するのは日本の作戦が悪いからではないか。新聞もラジオも、うそばっかり。本当の事を知らされずにどんどん人は死んでいっている」というと「お前の非国民精神を叩きなおしたる」と言って、肇は殴られます。
こういう時代だったんですね。

始めての空襲の恐怖。
爆撃機の騒音。
焼夷弾の爆撃。落ちてから発煙筒のように液体が出て、燃え広がります。
爆弾ではない、表現にリアリティを感じました。
町並みが焼け、家に火が回っていく様子など、どの場面もとてもリアリティがあってすごかったです。
空襲で家の焼ける中、父が大切にしているミシンを持ち出すも丸焦げになってしまうところは戦争の無残さをうまく表現していました。
燃え盛る炎の中、母と肇が逃げるシーンは本当に熱そうでした。
焼野原になってしまった町で父と再会するシーン。
焼野原の様子は本当に焼けてしまったようなリアルさを表現していました。

玉音放送があり、戦争が終わると人々の思想がガラッと変わります。

教官で射撃を教えてくれていた九門(佐々木蔵之介)が戦後は米兵相手に商売をしている姿を空しく感じる肇でした。
田森もすっかり共産主義になり、民主主義をどう生きていくのかを考えていました。

一人立ちを決意する肇に父は言います。
「あんたももう一人立ちしてもいい歳や。これからこの国を生き返させるのはあんたらやで。自分の目で見て、耳で聞いて。信じるのは自分やで。ええな」
ラストには不死鳥の看板を描く肇で終わります。

決して声高に戦争反対を描くものではありませんが。肇の生き方を通じて、戦争の悲惨さや残酷性などを描いていたと思います。

水谷豊さんと伊藤蘭さんの実際のご夫婦が出演されていますが、ご夫婦の日常が推察されるようなほのぼのぶりがとても良かったです。

安田大サーカスの団長安田裕己さんが教師役をしていますが、活舌があまりにも悪く何を言っているのかわかりません。キャスティングミスだと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • スペクタクル
  • パニック
  • 恐怖
  • 勇敢
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