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天使の分け前 (2012)

THE ANGELS' SHARE

監督
ケン・ローチ
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3.48 / 評価:264件

解説

『大地と自由』『麦の穂をゆらす風』などのイギリスの名匠、ケン・ローチ監督によるヒューマン・コメディー。スコッチ・ウイスキーの故郷スコットランドを舞台に、もめ事ばかり起こしてきた若者がウイスキー作りを通じて師や仲間と出会い、自らの手で人生を再生していくさまを描く。社会奉仕活動で出会った行き場のない者たちが繰り広げる痛快な人生賛歌は、第65回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

いつもケンカばかりしている青年ロビー(ポール・ブラニガン)は、トラブルを起こして警察ざたに。しかし、恋人との間にできた子どもがそろそろ出産時期を迎えることに免じ、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動をすることになる。まともな生活を送ろうと改心した過程で指導者のハリー(ジョン・ヘンショウ)に出会い、ウイスキーの奥深さを教えてもらったロビーはその魅力に目覚めていき……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve, Urania Pictures, France 2 Cinema, British Film Institute MMXII
(C)Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve, Urania Pictures, France 2 Cinema, British Film Institute MMXII

「天使の分け前」笑いとユーモアを押し出した、巨匠ケン・ローチの新境地

 ケン・ローチ監督の「天使の分け前」を見て、知ったことが3つある。

 ウイスキーなどを樽熟成して味わいを増す一方で、毎年2%ほど蒸発して失われていく分を「天使の分け前」と呼ぶこと。2つ目はワインの世界と同じように、スコッチウイスキーにもテイスティングと、「日向の草のような」といった評語があること(日本酒にもきっとあるのだろう)。そしてもうひとつは、見終えたあとに胃の辺りが少し重く感じるような映画をこれまで撮ってきたケン・ローチが、笑いとユーモアの映画を撮ったことだが、これはむしろ驚きに近い。

 スコットランドのグラスゴーに住むロビーは、100万人を越えた若年失業者のひとりだ。恋人のお腹は大きくなるし、訳の分からない喧嘩を売られた暴力沙汰の結果、300時間の社会奉仕活動に仕方なく従事するロビーの姿は、これまでのケン・ローチの映画を予感させる。だが、奉仕活動の現場で年輩のハリーと出会って、スコッチウイスキーのテイスティングの天分を知ったロビーが、人生の大逆転を賭けて社会奉仕活動の仲間と北ハイランドの蒸留所に出掛けていく珍道中とその結末は、この予感を大きく裏切る。

 とりわけ、天使の分け前を逆手に取った仕掛けは、一樽100万ポンド(約1億4000万円)以上で落札される幻のシングルモルトをありがたがる人々に対する痛烈な皮肉になっていて、爽快感さえ漂うのである。

 なにはともあれ、ケン・ローチの新境地である。これまでのつらい境遇に訣別して新たな人生に踏み出すロビーの姿は、ぼくたちに生きる元気と勇気を与えてくれる。(品川信道)

映画.com(外部リンク)

2013年4月5日 更新

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