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奇跡のリンゴ (2013)

監督
中村義洋
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3.84 / 評価:774件

「戦後昭和人」の歴史物語。力作

  • mitubajusiro さん
  • 2019年5月27日 7時08分
  • 閲覧数 54
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

冒頭で青森県が有名なリンゴの産地になった由来が語られる。
つづいて幼い頃から機械の分解・組み立てに興味をもってきた主人公の失敗談が紹介される。ロボットのおもちゃ、扇風機、テレビ、バイク、電子楽器といったアイテムで戦後の復興期から成長期へ時間の流れが描かれる。
このなかで『若者たち』を歌うシーンがある。これは重要な伏線となる。コミカルな演出はここまで。
主人公が養子に迎えられた家の仏壇には義父の戦友たちの写真と小さな壺が置かれている。作品の深みを予見させて引き込まれる。
息子の事業がうまくいかない中で義父が川面を見ながら『ラバウル小唄』を口ずさむ。
戦後世代の青春歌とその親の世代である戦中派の若きころの軍歌の対比が「戦後の昭和」の始終を象徴している。

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振り返ればこの映画の生まれた「平成」という時代は戦前戦中派の人々が社会の一線から退き消えていった時代である。その子供世代である「団塊」が社会のリーダーになり、そして一線から退いた時代でもある。そのように「平成」30年間は一つのパッケージとして世相が表わされる。その直前の40年間すなわち「戦後の昭和」という時代もここで描かれたようなパッケージ化が可能だ。敗戦の苦い経験にたじろぎつつも戦前の価値や気風を支えにした人々が復興と成長をなしとげた時代である。

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「課題には必ず答えがある」「失敗はしてこそかいがある」と母親から聞いた少年が苦難の末に成功するという、テーマとしては明朗だが、見続けるにつれていつのまにか笑いの得がたい非常にシリアスな物語であるのに気づく。陰惨な世界に見せず明かるい画面を保ち続けたのは俳優の個性と演出家の才によるものだろう。

語られているのは「努力はむくわれる」という話ではない。物事は努力すればうまくいくとは限らない。「答えのない課題もある」「失敗のまま終わる人生もある」と語っている。
成否は運である、しかし運もまたつかみとるものだ、と語っているようでもある。

「昭和人」のささやかな力強さ粘り強さを讃えた稀有の力作である。

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