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宇宙戦艦ヤマト2199/第三章 果てしなき航海 (2012)

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4.00 / 評価:52件

「世代間交流の断絶」という制作者の心の闇

  • t_n***** さん
  • 2018年10月7日 11時02分
  • 閲覧数 144
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 1~2章はいろいろと細かい難点はあるものの、基本的にオリジナル版のヤマトをできる限り忠実になぞっていたが、本章あたりから制作者の趣味・趣向が堂々と表に出始める。

 9話のロボット、オルタの話なんて、何これ別のアニメと驚くくらい雰囲気が異なる。短編小説的というか、深夜アニメ的というか、脚本家がキノの旅の人である。そういうものとして見ると楽しいが、あくまで箸休めである。
 雰囲気的には「これじゃない」感があることは否めないし、次章以降に顕在化してくるのだが、本作の制作者らはオリジナル版を批判的に改変する時は理詰めで基本進めていく一方で、自前で挿入したエピソードについては多少の矛盾や無理が出てくるとファンタジーで雰囲気的なものでごまかすようになっていく。
 その端緒として9話は象徴的である。

 7話の赤道祭の話。
 どうも戦艦オタクの人は赤道祭というやつに強い憧憬があるらしい。本作の数年後に放送された「はいふり」という作品でも無理くり話に組み込んでいた。これもまた箸休め回である。
 1章に箸休めが2回。あいだの8話は宿敵シュルツの最期とガス状生物の攻撃のオリジナル版での2話をくっつけた戦闘回。続けてみると結構バランスが悪く、8話がひどく駆け足でタメがなく見える。「総統はそうとう」の人死亡→ガス状生物焼死→シュルツ死亡という流れが恐ろしくあっさりとイベント消化されていく。
 せっかく劇場でやるのだからもう少し物語構成に腐心できなかったのか、と思う。このへんがどこか趣味・趣向が優先しだしているなと思う。

 また7話そのものもただお祭り騒ぎで、和やかではあるけれどもどこか気が抜けた感じが漂っている。仮装衣装を着たぞろぞろ画面に隊員が出てくると「人類未踏の宇宙へいくという明日をもしれない身の人間がこんなに趣味の私物を持ってくるものかね?」と釈然としない。
 制作している側の人間はもちろんヤマトは生還することにしているのだが、登場人物まで先のことを知っているようで、あまりにあっけらかんとしている。地球との最後の通信も、修学旅行先から実家にかけているような気楽さがあり、最後の「真っ赤なスカーフ」の歌も古代の「さよーならー」もどこか空々しく思えてくる。
 本作はリメイクであるけれども、登場人物は別に二度目の人生を転生しているわけではないので、心理描写や雰囲気づくりにはたとえ箸休め回でも工夫すべきだった。

 また7話では最も致命的なとりこぼしが一か所あった。
 それは、オリジナルではあった古代と艦長の会話が全くオミットされてしまって、かわりに山本や雪との恋愛事情のような描写に長くとられてしまったところである。
 この回に限らず、次章以降も艦長と古代が組ひざで話をする機会というのはほとんど描写されない。というよりも艦長は佐渡先生や徳川さんのような同年代と昔語りばかりしているし、古代は古代で島や航空隊の気のおけない面々と話すか、雪といちゃいちゃしているか、同じく同年代の連中との交流が主になっていく。
 つまり、おじさんと若者の世代間の交流や薫陶、成長や葛藤といったところが希薄になっていくのである。
 艦長も古代もお互いに自分のサークルに入ってしまって外に出てこなくなっていく。ひどく内向きなコミュニケーションである。

 総監督をはじめ制作陣は、だいたい50をすぎた初老であるはずだ。こういう閉じたコミュニケーションを、原作を改変して挿入してしまうところに制作陣の心の闇を感じる。
 自分たちさえ良ければいいとか、適当になれ合っていればよいとか、自分の過去の栄光をウイスキーでも飲みながら懐古しているのが至福とかいった、自己中心的で全くの他人とのコミュニケーションに対する潜在的な恐れが垣間見える気がする。
 あくまで「気がする」だけだ。
 でも、次章以降の展開、特に最終話の古代の長台詞の自己中心的な嘆きを見るに、この見立てはあながち間違っていなかったのかもしれないと思う。
(※この点についてよほど批判があったのか、本作の後日談である劇場版「星巡る~」では、意識して艦長と古代の喫茶シーンを挿入している。)

 「真っ赤なスカーフ」を懐メロとして扱うところも、どこか若者との交流や次世代へのバトンタッチを拒否して、懐古趣味に陥っているおじさんの悲惨さを感じさせる。

詳細評価

物語
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