ここから本文です

世界にひとつのプレイブック (2012)

SILVER LININGS PLAYBOOK

監督
デヴィッド・O・ラッセル
  • みたいムービー 591
  • みたログ 3,655

3.63 / 評価:2,024件

解説

それぞれに愛する人を失い心に傷を負った男女が再生していく姿を、涙と笑いでつづるヒューマン・コメディー。オスカーで6部門にノミネートされた『ザ・ファイター』のデヴィッド・O・ラッセル監督が、人生の再起に懸ける男女をハートフルに描く。主演は、『ハングオーバー!』シリーズのブラッドリー・クーパーと『ウィンターズ・ボーン』のジェニファー・ローレンス。さらにロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァーらベテランが脇を固める。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

妻が浮気したことで心のバランスを保てなくなり、仕事も家庭も全て失ってしまったパット(ブラッドリー・クーパー)は、近くに住んでいるティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会う。その型破りな行動と発言に戸惑うパットだったが、彼女も事故によって夫を亡くしており、その傷を癒やせないでいた。人生の希望を取り戻すためダンスコンテストに出ることを決めたティファニーは、半ば強制的にパットをパートナーに指名する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.
(C)2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

「世界にひとつのプレイブック」痛くておかしく、カオスを恐れぬコメディ

 黒いゴミ袋を、主人公のパット(ブラッドリー・クーパー)はポンチョのようにかぶる。袋の底と両脇に穴を開け、頭からすっぽりとかぶるのだ。家の近所を走りまわるとき、彼はかならずこの恰好をしている。

 その恰好がなぜかよく似合う。減量のためでしょ、などと真面目な顔でいわないでいただきたい。汗取りだけなら、ほかに手がある。

 パットは、8カ月入っていた精神病院からたったいま出てきた。妻の浮気現場を目撃し、大暴れして入院させられたのだ。妻に対する未練は深い。躁鬱の波も大きい。

 そんな彼がティファニー(ジェニファー・ローレンス)に出会う。ティファニーは妻の友人の妹だ。こちらもちょっと危ない。夫が事故死したショックの反動で、会社の同僚11人と寝てしまった過去がある。パットは、妻宛ての手紙をティファニーに託す。するとティファニーがいう。ね、ダンス・コンテストの相棒になってくれない?

 ああ、その手の話か、と思わせつつ、「世界にひとつのプレイブック」は通常のロマンティック・コメディの関節を外していく。もちろん、定石は押えている。ふたりの男女の突飛な性格と強力な化学反応。彼らを支えるカラフルな脇役とストーリー展開。監督のデビッド・O・ラッセルに手ぬかりはない。

 ユニークなのは、主人公を躁鬱病に設定したことだ。これはリスクが大きい。「一期は夢よ、ただ狂え」の大混乱が生じた場合、収拾がつかなくなるからだ。が、ラッセルはギャンブルを恐れなかった。佳作「アメリカの災難」もそうだったが、彼はカオスの取り扱いに長けている。この映画も嵐のなかに飛び込む。ヒステリアは暴発寸前にまで沸騰する。が、ラッセルは踏みとどまる。尻餅をつかず、希望を絶やさず、崖っぷちできわどいステップを踏んでみせる。痛くておかしいコメディは、彼の十八番になりつつあるようだ。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2013年2月14日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ