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はじまりのみち
2013年6月1日公開

はじまりのみち

962013年6月1日公開

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4.0

『クレヨンしんちゃん』を是非観てみたい

 …あらすじは、解説のとおり。  戦時中に、戦意高揚映画の製作をを命じられた木下惠介(加瀬亮)は、『陸軍』という作品を制作するが、そのラストシーンが戦意高揚に反するとして軍部からお咎めがあり、そんな状況に嫌気が差した木下は松竹に辞表を出し、映画界から身を引こうとする。  そんな折、戦況はますます悪化する一方なので、家族全員で山間地へと疎開しようとするのだが、母(田中裕子)は脳溢血で麻痺が残り寝たきりの状態で、バスに揺られるのも体調に悪いということで、母をリヤカーに乗せて、兄のユースケ・サンタマリアと便利屋の濱田岳とともに、17時間かけて大雨の降りしきるなか険しい山道を乗り越えて疎開先に辿り着くというストーリー。  途中の旅籠に辿り着いた時に、母親の顔に泥が跳ねていて、それを木下が丁寧に拭ってやるのだが、言葉を発しない田中裕子の息子に対する感謝・信頼の表情が実に神々しい。  このまま喋らなくてもピカイチの存在感だったが、結末近くで、動かない指先を懸命に動かして手紙を書き、また、咽喉を振り絞って、『木下恵介の映画がまた観たい』と伝えるシーンは、息子に寄せる愛情が沸々と湧き出ていて目頭が熱くなった。  また、疎開への途上の河原で、お調子者の便利屋の濱田岳が、木下恵介本人と知らずに、映画『陸軍』のラストシーンについて褒めるシーンがあって、この時の加瀬亮の眼から流れる涙にも心を打たれた。  なお、作品中で、監督の処女作である『花咲く港』、『陸軍(田中絹代が息子の出征行軍を見送るシーンが結構長く続く)』が挿入され、これで物語は終わったかに思われたが、更に木下監督13作品の名場面が次々と映し出される。  大原麗子の懐かしい顔が拝めてそれはそれで悪くはなかったが、ちょっと盛り込み過ぎとも感じたので☆一つ割り引いた。  『クレヨンしんちゃん』の原恵一の初の実写映画化らしいが、アニメ『クレヨンしんちゃん』は実に評判が高いので是非観てみたい。

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