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はじまりのみち
2013年6月1日公開

はじまりのみち

962013年6月1日公開

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1.0

家族愛

戦時中であるというのにまるで予定調和で退屈極まりない。また本作からは独立した映画だという強い主張を感じない。木下惠介監督作の紹介VTRですよとでも開き直ったような出来だ。あの原恵一監督とあろう者でも実写映画を撮ると朝ドラ風の、量産型ダメ映画を作ってしまうことが露呈してしまった。呆れた。 濱田岳のオーバーアクトや宮崎あおいの無駄さも気になったが、決定的に嫌いになった場面は『陸軍』のラストシークエンスを何の工夫もなく垂れ流し、その後親の子を思う愛情がテーマだと台詞でほざいたところだ。それは主人公である母の感情でありテーマではない。陸軍は戦時中の日本に居た人々の様々な思考を客観的な視点から見せた映画である。従って受け取れるメッセージは観客各々の思想によって変化するのだ。深く見ていない癖に感想を垂れ流さないでほしい。 最後に原監督、貴方が作った『クレヨンしんちゃん モーレツオトナ帝国の逆襲』は家族を描いてはいるが家族愛の映画だろうか?未来対過去のイデオロギー対立を描いた映画ではないのか? 父ひろしが記憶を取り戻した後、70年代の風景を目の当たりにして涙を流していることからも明らかなようにひろしは保守派であり、未来に生きたいしんのすけはリベラルである。前者は家族を捨てることで過去に浸り、後者は女と出会いたいがために他人の欲望を妨げる。両者共、自己満足のために行動しているところにこの映画の本質がある。思想を現実に置き換えた時のメリットデメリットを容赦なく、誰にでも気付かれるように作ったことがこの映画の偉大なところなのだ。 こんなにも誠実な映画を作った人が陸軍の本質に気付かないとは悲しい限りである。

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