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俺はまだ本気出してないだけ (2013)

監督
福田雄一
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  • みたログ 1,940

3.09 / 評価:1192件

不満は伝搬する、うれしさも伝搬する

  • raz******** さん
  • 2019年6月11日 22時20分
  • 閲覧数 1115
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

ぶっちゃけると、ストーリーの流れはご都合主義。
ただし、それは、ある種のメッセージをストーリーに埋め込むためである。



この映画が観客へ問いかけているのは
「自分を殺してでも、正しいことをするのが最良なのか?」である。

正しいこととは”神様の言うこと”であり、神様は「サラリーマンになれ」と言っている。ならば、神様の言う通り、自分を殺してでも正しいことをするのが良いことなのだろうか。

金髪の若者(山田孝之)はサラリーマンを正しいものとして認識していた。彼は正義感が強く、正しい道を歩もうとしていた。しかし、踏ん切りがつかなかった。それは、心の中でその道は違うかもしれないと感じていたから。



「不満が心にたまるのは、好きではない職業についているからだ」というのがこの映画の主張だ。

主人公だけでなく、主人公の親友や、主人公の漫画編集者も天職へと転職した。それによって人生が好転した。

もちろん、サラリーマンのまま安定した収入を得ることは、それでも正しいことだといえる。主人公の娘が風俗で働いていたのは、安定した収入がなかったからだ。

この映画が観客の心に変化をもたらすとしたら、娘が風俗で働いたことへの理解度だと思う。風俗で働くなんてとんでもないという常識的な正しさと、娘が主人公を応援しようとする気持ちの2つを天秤にかけてどちらに傾くかということだ。

この天秤は、「サラリーマンと漫画家のどちらを選ぶか」という天秤と同義だ。
娘の父である主人公にとっては死ぬほど悩む難問だ。実際、死にそうになった。



主人公は娘に「あのバイトはやめなさい」と言って、娘は気持ちよく「はい」と約束した。

不満は発生した時点で相手に伝えなければいけないが、
しかし、その不満を他の人に伝搬させてしまうような伝え方ではいけない。

不満が連鎖するのは最悪だ。

金髪のキャバクラでの上司(ちょびひげ)は、新人として入ってきたおっさんをいびっていた。特に、自分が上役から怒鳴られたときは、そのうっぷんをおっさんで晴らしていた。

それに対して、主人公は、同僚からの金髪へのクレームを、途中でとめて、不満が伝搬するのを阻止した。

しかし、だからといって、ただ不満をとめればいいというものでもない。

主人公の親友である宮田(生瀬勝久)も、妻と子に不満を伝搬させないように生きてきた。ところが、そのために家族を失った。妻や子の間違いをただすことは父親の役割だ。宮田はそれを放棄してしまった。

僕は初め、離婚理由を妻から聞いたとき、「なんじゃそりゃ。ひでえ妻だな」と思ったけれど、妻の気持ちも少しはわかる気がする。




主人公は高校生のころぐれていたが、それは父親がやりたくもない仕事をしていたからだろう。父親の心にたまった不満が、高校生の主人公に伝搬したのだ。
その後、主人公はヒッピーになって、心を中和させた。




漫画家は夢を見せる仕事であり、主人公は周りの人たちに夢を追い求める心を思い出させた。

「俺はまだ本気出してないだけ。」このフレーズを聞いたら普通は、怠けたいときの言い訳だと考える。でも、この映画はそれを逆転させて、今までのサラリーマン稼業はやるべき仕事ではなかったから、本気を出せないでいただけだという前向きなフレーズに変えている。

この主人公のようにいつまでも若い心のままでいたいものだ。
でも、やっぱりご都合主義なのは変わらない。

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物語
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