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俺はまだ本気出してないだけ (2013)

監督
福田雄一
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  • みたログ 1,729

3.09 / 評価:1,060件

何やってんだ、俺は…

  • 出木杉のびた さん
  • 2013年6月16日 6時30分
  • 閲覧数 2836
  • 役立ち度 71
    • 総合評価
    • ★★★★★

42歳、もういい加減世の中の厳しさを知っていてもいい年齢である。大黒シズオ(堤真一)はバツイチで高校生の一人娘・鈴子(橋本愛)と父親・志郎(石橋蓮司)の三人暮らし。突然仕事を辞めてしまい、毎日だらしなくテレビの前に寝そべり、ゲームばかりしている。いい歳こいて、責任感のない子供同然の無自覚振りには呆れるばかりだ。突然漫画家を目指すが、それも本屋で立ち読みしていて思いつく程度の軽さ。特に昔からの夢という訳でも無さそうだ。

シズオは描いたマンガを、中学館という出版社に持ち込み、村上(濱田岳)という担当がつく。濱田岳の相変わらず力の抜けたような演技は、どこまで本気でデビューまで導こうとしているのか分からないのだが、二人のやりとりが結構笑える。何度もボツになっても諦めないシズオは、これでも前向きな生き方と言っていいのだろうか。村上の助言を、とにかく良いように解釈してしまうのは、ある意味天性の才能だ。

自分のマンガが採用されないのは、「まだ本気出してないだけ」だからという自己分析。「やればできる子」という親のひいき目を、そのまま自分で言っているようなものだ。この言葉の裏には、「才能はあるんだけど」という思い込みが隠されている。更に「運がないだけ」と思い、占い師に改名してもらう突き抜けた脳天気さには、呆れてしまうと同時に、ちょっと応援したくもなってくるから不思議だ。夢はあっても、大体の人はみんな途中で才能の無さに気付き、その道を諦めてしまう。成功する人としない人との違いは、その見極めと思いの強さ、深さだろう。

そんなシズオでも、「何やってんだ、俺は…」と自省する一瞬が訪れる。マンガが本気なのか趣味なのか、決断を迫られる。この男、何にも考えていない訳ではなかったということに、ちょっとホッとする。シズオが五人登場する自分会議のシークエンスもコミカルには描かれているが、彼なりの考察、自問自答であることには違いあるまい。

シズオのことを責めるでもなく、励ますでもない娘・鈴子の動向が気になってはいた。お父さんとも呼ばない娘は、もう父のことを見限っているのか。自分でバイトして、お金をコツコツと溜めている。彼女には彼女のやりたいことが見えている。このダメ親父は、娘にとって良き?反面教師なのかも知れない。

「鈴子に親として諦められているぞ」という志郎の説教が効いてくる。自分のやりたいことだけをやっているシズオは、確かに自分のことしか考えていない。娘がどういう思いでバイトして、何故父親には何も言わないのか、考えたことがなかった。鈴子の真意にはホロリとさせられる。父親の成功を望まない子供など、いないだろう。始めて父親らしい言葉を、控え目に娘にかける帰り道のシーンがとても良い。今度はもっと深く味わいのある作品が描けることだろう。諦めない限り、夢が現実になる可能性は続くのだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 笑える
  • コミカル
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