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ダークホース ~リア獣エイブの恋~ (2011)

DARK HORSE

監督
トッド・ソロンズ
  • みたいムービー 18
  • みたログ 84

2.81 / 評価:36件

三大トラウマ映画。気力根こそぎ奪われます

  • asa***** さん
  • 2017年7月16日 10時21分
  • 閲覧数 245
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

一応、ラブストーリー(愛にまつわる話)には違いないけれど、
本作は、トッド・ソロンズの映画の中でも特に毒が効いており、
構えずに見ると根こそぎ気力を持っていかれます。
ちなみに、コメディと言いつつ、全く笑えませんのでその点を踏まえた上でご覧ください。 (馬鹿らしくポップなノリなので苦笑いならたくさんあります/笑)


エイブは、経済的にも、家族的にも、人種的にも、恵まれ、健康にも重大な問題は抱えていません。
甘ったれたどうしようもない奴だけど、サイコパスではなく、最低限の優しさと共感性は持ち合わせています。
普通に考えたら、超絶イージーモードの人生を送れるはずです。

でも、そうはならなかった。

イケメンで優秀な弟(医師)と対照的に、容姿と能力に恵まれなかったエイブは、
100点 満点ではない傷物の自分(人生)が気に入らず、返品希望(現実逃避)だけをします。

自己中心的で呆れた言動を繰り返すエイブは、誰よりも自分自身のことを嫌っています。

内心では誰もが自分に失望しきっているに違いないとエイブは思っているのですが、
ラスト、事実はそうではなかった事が判明します。

エイブの両親の過保護な愛は、エイブにとってよい方向には働きませんでしたが、
最後まで見捨てることはなく、見返りを求めこともありませんでした。
エイブとヤケクソで付き合っただけのはずのミランダは、エイブを愛せずとも、その子は産みました。
どうしょうもないハズのエイブの葬式に来てくれる会社の同僚がいました。
そして実は密かにエイブを愛してくれている同僚の女性がいました。

なんでそれを最後に持ってくるかな〜・・・マジで。

自慢は出来ず、見栄えも良くなく、たとえちっぽけなものであっても、
スローペースで自分だけの何かを積み重ねる、
恵まれたエイブはたったそれだけで良かったのです。
誰も自分を否定しておらず、完璧を求めてはいなかったことに気付いた時には、
エイブは死んで魂になってました。

なんとも意地の悪い。ひたすら苦笑いです。


俯瞰してみれば非常に馬鹿らしい話ですが、
自分の中に「○○じゃないとダメ」「XXであるべき」を作り、
自ら不幸や鎖を作り出している事は意外とある事ではないしょうか。

また、自分自身を愛し信じる為には、
なんでも良いからコツコツ積み上げる事が必要ですが、
私達には、見栄も虚栄心も承認欲求も焦燥感もあります。
植物のように超然とはしてはおらず、優秀な人や悪意ある人によって、心は簡単に波打ち乱れます。
そんな中で取るに足らない小さなことであっても、
本当に最後まで(自分自身を信じられるようになるまで)積み重ねられますか?

「言うは易し行うは難し」です。
しかし、死んでから、最初からそこにあった愛や自分の可能性に気付く、そんな悲劇は無いようにしたいものです・・・。


ちなみにタイトルのトラウマ三大映画の内訳は、

1、みんな元気 (原題:Stanno tutti bene、監督:ジュゼッペ・トルナトーレ)
2、東京物語 (監督:小津安二郎)
3、本作

望んでも、生まれた地域や星の巡り合わせによっては得られない、「お金」と「家族」。
それがこんな風にすれ違っちゃうと気力が根こそぎ奪われますね・・・

詳細評価

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