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青二才 (2012)

監督
サトウトシキ
  • みたいムービー 2
  • みたログ 8

3.00 / 評価:5件

弾けるようになったんだ、少し

  • derzibet さん
  • 2013年1月6日 19時33分
  • 閲覧数 425
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

青春Hシリーズとして三度目の登場となったサトウトシキ監督ですが、今回も「イチジクコバチ」や「花つみ」同様に脚本家の竹浪春花さんとのコンビによる作品です。

”竹浪さんにしては、今日は人が死にませんでした”

主演の伊藤猛さんの言葉ですが、個人的にも竹浪さんのシナリオと言うことでショッキングな展開や結末を考えて身構えていましたので少々拍子抜けした感があります。しかし、物語を通した独特な視点は相変わらずでらしさは十分に感じられます。

”50代の男にとって夢って何だろう?”

これも伊藤さんの言葉ですが、若者の夢とは内容もスタンスも異なるものがあるのかどうか考えさせられます。

これは、純粋さと言うか偏屈さや幼稚性がより強く表れる中年の夢が「青二才」と言うことなのでしょうか?

物語は、不倫の後に家族を捨てて紗江子(正木佐和)と同棲をする岡本(伊藤猛)は48歳にもなるが定職にも就かずにポスティングの仕事で生計を立てており、ギターを弾くこと以外には興味を持とうとしません。そんな折に、紗江子が誰の子か分からない子供を妊娠して出て行ってしまったことから・・・・。

”いつまでも若いと思うなよ”
”いつまでも、夢、見てんなよ”
”これじゃ、大会ムリだよなあ”
”今は、叶わない夢ばっか追ってる”
”逃げてただけじゃないの”

へたくそなギターに託す夢は若者が描く単なるサクセスストーリーへの夢ではなく不器用な中年の抱く夢です。

サトウトシキ監督が描く人物は人の嫌らしさが滲み出ます。本作においても、岡本は、明かりを付けることなく咥えタバコで冷蔵庫を開いたままビールをがぶ飲みして缶詰を缶切りで不器用に開けてマヨネーズを掛け掻き込んで、その間もタバコは手放さずやがては台所でもどすと言う長い場面が出てきますし、紗江子は、妊婦にも拘わらずにタバコを吸い腹を蹴ったお腹の子供に対して連打で腹を叩き応酬する姿を描きます。これは互いの不安定な心の様を描いているのですが、途轍もなく不快感を感じます。逆に言えば、それが監督の手腕のなせる技なのでしょう。

”何処へでも行っちまえ、バカ猫”
”結局、誰かを不幸にした人は幸せになれないんだね”
”家族には黙っててやるから金よこせ”
”もう、生みたかったのか、生みたくなかったのか分からなくなっちゃったよ”
”俺は家族捨てたの”
”また、逃げてきたの、結局、振り出しに戻っちゃった”
”これ岡本さんに答えてもらわないと意味がないの”

岡本も紗江子も自ら主体的に人生と向き合うことはありませんでした。

”何で何にもわからない!”

こんな岡本に対して捨てた息子から言われた言葉は辛辣です。

”でも、弾けるようになったんだ、少し”

「青二才」の岡本も少しは成長したと言うことなのでしょうか?

前二作からすればおとなしい作品で少々退屈でもありますが、見方を変えれば色々とと趣のある作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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