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かぐや姫の物語
2013年11月23日公開

かぐや姫の物語

THE TALE OF THE PRINCESS KAGUYA

1372013年11月23日公開

yur********

5.0

ネタバレかぐや姫の犯した2つの罪と罰

かぐや姫の犯した罪と罰について自分の中で消化出来なかったからなのか、ただ単にこの映画に魅了されたのか、気が付いたら数日の間に何度も見返していた。 映画の後半で、かぐや姫がこの地に憧れを抱いてしまったことが罪で、この地に降ろされたことが罰だと媼に告げている。 極楽浄土の月の世界からすると地球は穢れた世界であり、そんな地に憧れの思想を持つこと自体が罪で、罰としてその穢れた世界に降ろされたのだと。 そして最後はかぐや姫は月に帰ることになるが、月に帰る=罪を償ったということなのであれば、かぐや姫は罪をどういう形で償ったのだろうか。 かぐや姫は幼少期の頃のように自由に生きていたいという気持ちを押し殺し、望まない相手から求められることの辛さを感じながらも翁の期待に応えようと高貴な姫として過ごしていた。しかし帝に抱きすくめられることでついに我慢できず月に助けを求めてしまった。 月の世界からすれば、それみたことか!地球で生きるとはそういうことなんだ、月の世界は悲しみも苦しみもない。どんなに素晴らしいかわかったのであれば罪を償ったとして迎えに行こうと。 でもこれでめでたしめでたしではない。 もう一つの罪と罰があるのではないか。 かぐや姫は自分で月に帰りたいと思ったのにいざ月に帰ることが決まると今度は月に帰りたくないと泣いてしまう。 何故ならかぐや姫はそんな辛さや悲しみさえも彩りに満ちていて、生きていることを実感できることこそが素晴らしいと気づいたから。 つまり、もう一つの罪とは月に帰りたいと思った(生きることを諦めた)ことであり、罰とは辛さや悲しみさえも生きている実感があればこそなのだということに気づいたのに月に帰らなければならなかったことなのではないか。 ただこの物語の真相は今でもよくわからない、だからこそ何度も見たいと思ってしまうのだろう。私はこの映画の大ファンになった。 最後に好きなシーンについて。 たくさん好きなシーンがあるが、ラストの月からのお迎えのシーンは本当に素晴らしい。月の世界の圧倒的な力を前にして何も抵抗できない人間の無力さが、久石譲さんの天才的な音楽の効果も相まって一層強固に表現されていた。 また、最後にかぐや姫に月の羽衣をかけた天女の声優がなんとなく気になって調べたところ、かぐや姫と同じ声優であったことに驚いた。 高畑監督が、かぐや姫もまかり間違えばこうもなりうる、合わせ鏡のように感じにならないかと思って、と述べたようだ。 私たちもあの世に行ってしまえばあの天女たちのようになってしまうのかもしれない。それまでこの地で精いっぱい生きようと思った。

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