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くちづけ (2013)

監督
堤幸彦
  • みたいムービー 205
  • みたログ 826

3.81 / 評価:658件

無関心への問いかけ

  • kit***** さん
  • 2015年11月6日 6時45分
  • 閲覧数 4097
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

障害のある方に向き合っている方々からは現実とのギャップに非難もあるようですが、健常者しか知らない大多数の人々に対しての作品としては、要所要所にメッセージが織り込まれた良い作品だと思います。

障害者のお笑いのような演出が一人の個性を作り出し、小馬鹿にする友人が世間の無理解を表現し、散りばめられたセリフの中に想像し得ない問題を提起し、何も知らない健常者の意識を惹きつけています。

障害のある方々に携わってなければ、軽はずみな同情心より先には目を向けられないと思います。
家族にならない限り、現実を受け入れる感情は持てません。
そういう「無関心」を巻き込んでこそ福祉の向上があるのではと思います。

実体験ですが、行楽地を旅行した際に長蛇の列の満員トイレで、わずかな身体障害の方が「気分が悪いので先に変えてもらえませんか?」と先頭の中年女性達にお願いしていました。
女性達の返した言葉は「イヤだ、気持ち悪い!こんなとこで吐かないで!あっちにして!」と手洗いの隣の用具洗いを指差しました。
沢山居た周りの人も、そして私も、勢いに圧倒され声をあげる人も介抱する人も誰一人居ませんでした。
気になり彼女を探すと、ちょうどご両親のところに歩み寄ろうとしているところでした。
満面な笑顔を向けて、何事もなかったように振舞い、何も知らないご両親と3人で楽しそうに歩いていかれました。
もう30年近くも前の出来事なので、現在とは違うとは思いますが、人の感性はそれほど変わるものではないと思います。
一人一人と接すれば理解されることも、集団となれば冷酷な現実があります。
本人、家族それぞれの苦悩は当事者にならなければ分からないのです。

私たち世間が当事者側の気持ちに少しでも近付くための作品とすれば、「無関心」を惹きつけるうえでは心情に入りやすい良い作品です。

現実は違うでしょうし、もっと大変なこともあることでしょう。
わずかな時間に集約するのは不可能ですし、障害のある方の日常を同情心的には見たくありません。
限られた時間で一人一人の無垢な個性、周りの人のやるせない心情、揺れ動く家族が十分伝わったように思います。
そして最後の決断があったからこそ、より心に残りました。

一人でも多くの「健常者」にみてもらいたい作品だと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
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