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共喰い (2013)

監督
青山真治
  • みたいムービー 177
  • みたログ 1,104

2.79 / 評価:708件

伏線回収もよくて、面白かった

  • nekinakomoti さん
  • 2018年1月2日 0時45分
  • 閲覧数 3564
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

菅田将暉が好きで見てみました。
テーマが重いし、R指定だし(私は30代なので、そういう趣味の人がいることも知っていたから平気でした。)、映像もちょっと辛気臭いし、人が死ぬ…、でも最後になんだかスッキリして、少し未来が明るくなった気がして、ストーリーとしては好きだと思えました。伏線が面白くてレンタル期間中に何度も見ました。

★タイトルの共喰いは、同じ種のものが殺して食べること…。映画の中では「食べる」はないにしても、同じ種のものが殺す、と捉えると、円の血を引く遠馬が父を殺したいと思ったこと、かつてはともに暮らしていた仁子が円を殺したこと、遠馬に首を絞められてのセックス(相手を支配する)を嫌がった千種が、遠馬の手を縛って支配し気持ちよくセックスできたこと、に表れているのかなと思いました。

★仁子がすごい。仁子は結婚後に円に殴られて殺したいくらい不愉快だったけど、片手がないことをバカにしないところには優しさを感じていた。なのに大切にしてきたその義手で円を殺した。かつて神社で祭りがあったときに知り合い結婚し、殺害後は祭りの終わった神社で任意同行を待つ。警察の車のナンバーは「41_22」二度目に見て良い夫婦だと気づくと涙が溢れました。

★円は結婚指輪をはめている。自分に愛想を尽かして出ていった女房だし、もう女としてみていない。だけど魚に関しては仁子を頼るし、仁子もやぶさかではない。テキトーな性格ではあるものの、円の中に仁子との繋がりは残っていると感じられる。正式な離婚もしていないし。

★仁子の優しさがいい。
最近円や遠馬の目つきがおかしい…と気にしていた仁子。遠馬が釣りの仕掛けをしたままどこかに行って帰りが遅かったから、釣り竿のもとに座って心配していて、母としての愛情を感じた。
遠馬と話してるときは琴子の子は生まれなくてもいいと思っていたのに、殺害を決意したときはお腹の子にも優しさを見せた。

★遠馬の細かい演技がすごい。他の役者さんもだけど、目やまぶたの動きはもちろん呼吸の仕方、つばを飲み込む、間のとり方…感情がとてもよく伝わってきました。
本作が2013年。2011年の「高校デビュー」の菅田将暉からたった二年でこんなに演技がうまくなるんだなぁと感心しました。
遠馬が仁子に向かって、ここでうなぎ釣りをするのが好きな理由を言い終わった後に、うんと自分で頷くところと、その様子を見て微笑む仁子のやり取りが暖かくて好き。

●血で汚れたからと鳥居をくぐらない仁子、いい!

●殺害現場になった店の前を掃除する遠馬の心情たるや…(T_T)

●わからなかったこと
遠馬は日常生活で常に腕時計をつけている。だけど、はじめの千種との倉でのシーンでは遠馬は腕時計を外ずす。(千種はつけたまま。)だけど、遠馬がアパートの女とした時を思い出すシーンでは腕時計をつけていて、女の髪の毛を掴んでいる。腕時計をつけたままセックスする人は、相手を支配したいタイプの象徴なのか?でも円は腕時計をつけていないから違うのかな…。

●円は琴子が出ていったときに「わしの子を持ち逃げした」と言う。琴子のお腹を愛おしく撫でていたときに、琴子が立ち上がっていなくなってもまだ空をなでている。…そんなに子供が好きなら、あちこちの女と関係を持ちながら、遠馬以外の子供が生まれなかったことにこれまでトラブルを起こさなかったのかな??

●小説を読みながら自分の体を触る遠馬。楽しみのない町、楽しみのない高校生。小説を読みながらってかわいいな。でも、作り物がやたら大きすぎやしないか笑

●円はセックスの最後に首を絞めたけど、遠馬は言うことを聞かせたいとか、行為の前に首を絞めるから、暴力を振るうにしても円とは少しタイプが違うのかな?

●遠馬は琴子さんの居場所をどうして知ってたんだろう。

●琴子さんの動きは臨月の妊婦じゃないのが残念。

●円が刺された後に川に入ること。普通なら瀕死で水には入らないから、円いわく女性の象徴であるその川で命を果てることに、意味をもたせたかった??
■一度目に見て「あの人」が誰かわからず、映画ライターさんのレビューを見て天皇のことだとわかりました。(天皇家に冠婚葬祭などがあると、犯罪者は恩赦を受けるの??信じられない)そして、原作では仁子が殺すところで終わっていて、その後はオリジナルストーリーだとも知りました。ライターさんいわく、仁子が手を失ったけど恩赦を受けることを期待するくだりで、物語にぐっと深みが出ていいとのことでした。それを踏まえて見てみた時、映画は大人になった遠馬が、父の死のいきさつを振り返っているけれども、その傍らで仁子という女性の半生までもを描いているんだなぁと、うまいなぁと思いました。


まとめ★ストーリーの展開が無駄なく、長すぎず、よくまとめられていて、役者の演技も素晴らしく、とても良いと思いました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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