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共喰い (2013)

監督
青山真治
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2.78 / 評価:688件

解説

小説家・田中慎弥による人間の暴力と性を描いた芥川賞受賞作を、『サッド ヴァケイション』『東京公園』などの青山真治が映画化した人間ドラマ。昭和の終わりの田舎町を舞台に、乱暴なセックスにふける父への嫌悪感と自分がその息子であることに恐怖する男子高校生の葛藤を映し出す。主演は、『仮面ライダーW(ダブル)』シリーズや『王様とボク』の菅田将暉。名バイプレイヤーとして数々の作品に出演する光石研と田中裕子が脇を固める。閉塞感漂う物語がどう料理されるか、青山監督の手腕に期待。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

昭和63年。高校生の遠馬(菅田将暉)は、父(光石研)と父の愛人・琴子(篠原友希子)と暮らしている。実の母・仁子(田中裕子)は家を出て、近くで魚屋を営んでいた。遠馬は父の暴力的な性交をしばしば目撃。自分が父の息子であり、血が流れていることに恐怖感を抱いていた。そんなある日、遠馬は幼なじみの千種(木下美咲)とのセックスで、バイオレンスな行為に及ぼうとしてしまい……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)田中慎弥/集英社・2012「共喰い」製作委員会
(C)田中慎弥/集英社・2012「共喰い」製作委員会

「共喰い」荒井晴彦と青山真治によるロマンポルノの復活

 昭和63年の夏。山口県下関市の川辺と呼ばれる、どぶ川の河口の一角で、17歳の遠馬(菅田将暉)、セックスするときに相手の女を殴る父親(光石研)と父親の愛人(篠原友希)、遠馬のガールフレンド(木下美咲)、空襲で左手首を失った母親(田中裕子)、それに娼婦の6人が、血と性の物語を紡ぎ出す。

 2012年に芥川賞を受賞した田中慎弥の同名小説を映画化するに当たって、脚本の荒井晴彦と監督の青山真治は、ロマンポルノの乗りで作ろうと考えたという。

 ロマンポルノは、傾きかけた日活が会社の延命を図るために、10分に1回、濡れ場(セックスシーン)があれば、素材にも主題にもこだわらないという、1971年からおよそ17年間にわたって、日活撮影所で撮られたプログラム・ピクチャーである。

 70年代当時、ロマンポルノの現場にもいた荒井は、原作小説を脚色する自分の仕事を、「活字を原稿用紙のマス目に写しただけ」と各地の映画祭で語っているが、それは本音ではない。「脚色とは原作に対する批評である」というのが荒井の持論であり、その批評性は映画的改変を施した脚本となり映画となる。当然本作においても、いくつかの映画的改変が行われている。

 映画の終盤に加えられた半年後のエピソードは、昭和天皇の戦争責任を意識させ、原作者は唸ったという。また、小説にはない性愛シーンも描かれるが、青山監督は一度もキスを撮らない。それは、「体は許しても唇は許さない」というプロのこだわりが象徴する、女性の中に潜む娼婦性を想起させる。

 女性上位社会の到来を感じさせる、いかにもロマンポルノ的な映画である。(品川信道)

映画.com(外部リンク)

2013年9月5日 更新

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