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命ある限り

命ある限り

JAB TAK HAI JAAN

175

Dr.Hawk

5.0

ネタバレ愛は生まれる、対価なき心の中で

2017.01.03 字幕 DVDレンタル 2012年に他界したヤシュ・チョーブラ監督の遺作 インドのスーパースター・シャー・ルク・カーンが主人公サマルを演じたラヴ・ロマンス 防護服なしで爆発物処理をするサマル 彼がいつものように爆発物処理後にラダック湖でひとり過ごしていると、ジャーナリストのアキラ(アヌシュカ・シャルマー)が湖で溺れているのを見つける 仕方なく彼女を助けたサマルは上着を彼女に着せて去った アキラは不愛想な彼に悪態をついていたが彼は気にもしない そして彼女は彼の上着から手帳を見つける それは、ある女性との恋物語を綴った日記だった ここからロンドンでのサマルの日常が回顧として描かれる 彼はストリートミュージシャンをしながら、いくつものアルバイトを掛け持ちしていた ある日、露店の魚屋で商品を捌いていたサマルの元にホテルのレストランの支配人がやってくる 露店の得意客だった彼は、サマルの仕事ぶりを気に入って、「今の仕事に飽きたらウチに来い」と名刺を彼に渡した サマルはチャンスが来たとばかりにその話に乗った そしてあるパーティの席で彼はひとりの女性に出逢う 彼女の名はミラ(カトリーナ・カイフ) 富豪の娘で婚約が決まっているが、その婚約の席での切ない表情を見てサマルは気づく 彼女の本心はそこにないと そして彼はミラに声を掛けた 王道のラヴ・ロマンスで、彼らの恋路を遮るのは「立場」と「神様」 後者の「神様」はミラの信仰心とも言える サマルは本当のミラを知りたいとパーティに誘い、打ち解けて弾けたふたりは箍の外れた恋路へと突き進む だが、ミラが婚約解消を決心したそのとき、サマルは事故に遭う ミラは必死で神様にお願いする「サマルを死なせないで。もう二度と逢わないと誓うから」と ミラは何かを犠牲にすれば神様は願いを叶えてくれると信じている そして神様が願いを聞き入れたのかわからないが、サマルは九死に一生を得る そしてミラは神様への誓いを彼に告げ消えた その後サマルは「ミラの誓い」を秤にかけて神様と戦うことになるが、その本心はラストシークエンスで語られることになる サマルとミラの恋愛に割って入るのがアキラのように思えるが、実際はサマルとミラと神様との三角関係のようなもの アキラはその三角関係の外から来た者として、自らも恋心を抱きながらも、その関係の中に潜む矛盾を暴露する役目である 空白の10年間、それはサマルと神様の戦いの歴史であり、それに終止符を打つのはアキラである アキラとの出会いは彼を戦いの世界から引き戻し、そして再び彼に試練を与える 同じような事故を目前にして同じように祈りながら、運命に対価を感じるものと、そうでないものの差がここにあった 運命は先天的か、後天的かとも言える ラストシークエンスでサマルはミラに「神」と「愛」の関係を説く 「ミラは神様に心を奪われたままで、自分のものになったことなどない」と 何を信じるのか? これが本作のテーマであろう ミラへの愛の強さと自分の心 サマルはそれを信じていた ミラは理解するのに10年掛かってしまった それでも、サマルの心は揺るがない 愛するということは「すべてを包み込むこと」だからだ 直球の恋愛物語で観ているほうが恥ずかしくなるぐらい浮いた台詞やカッコよさを存分に堪能できるが、恋愛物語において「明確なまでのテーマ性とその障壁」を描いている本作はまさに王道である 「病」「立場」「時間」「国境」 色んな障壁がある中で「信仰心」と言うのは結構冒険心あふれる障壁だったと思う 長尺ではあるが、純粋なラヴロマンスを堪能したい人向けの映画 女性には憧憬を、男性には教訓を そんな映画だったと思います

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