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ペーパーボーイ 真夏の引力 (2012)

THE PAPERBOY

監督
リー・ダニエルズ
  • みたいムービー 113
  • みたログ 802

3.45 / 評価:482件

甘い腐臭に酔いしれる、刺激的な傑作!

  • みんみにゅ さん
  • 2014年2月19日 21時52分
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

いい!!!
毒々しさと禍々しさに満ちた夏。
エグくてエロくてどこまでも不埒な登場人物たち。

まるで熟れすぎて腐りかけた果実のような映画だ。
嫌悪感を感じながらも、甘くねっとりとした果肉にとらわれて目を物語から目をそらす事ができない。


神様も汗をかくほど暑い1969年フロリダの夏。

画面から匂いたつような真夏の南部地方の湿気と熱気
血なまぐさい殺人事件
得体の知れない死刑囚
その死刑囚と手紙だけで婚約を交わす厚化粧のとんでもビッチな金髪美女
死刑囚と女の面会室での異常な性行為
土地にはびこる根強い黒人差別
何かにつけて不穏な空気を作り出す兄の同僚
女をとっかえひっかえの父と、高飛車なその恋人
兄が隠していた秘密
沼地深くに住まう死刑囚の親類たち
引きずり出されるワニのはらわた

ストーリーテラーのアニタの要領を得ない語り口調から始まり、
物語を構成するありとあらゆるものが不快で不穏な空気をはらんでいる。
事件の真相を求めていたはずの登場人物たちは、いつしか互いの奥に潜む闇を暴き暴かれながら転がり落ちていく。
そして悪夢の夏は、ある日沼地の奥で決壊する事となる。

スキャンダラスな物語に加え、
演技派俳優たちのこれでもかという程の演技合戦が最高だった。

まずハイスクールミュージカルの印象が強くてアイドル俳優としか認識していなかったザック・エフロンがすごくよかった。
ニコールキッドマン演じるシャーロットに恋する純粋で青臭くて繊細な青年。
こんなにいい俳優さんだったんだ。他の作品も見なくちゃ。
事前イメージが(勝手な偏見で)低すぎたせいでものすごく株が上がった。
これだけの演技派俳優たちに囲まれて主演を務めるのは大変だっただろうけど、大健闘としか言いようがない。

穏やかな容姿なのに、刑務所での登場シーンから怪物にしか見えなかったジョン・キューザック
怒鳴るわけでも暴れるわけでもない、ただ近づいてくるだけで彼の発する狂気に飲み込まれそうになる圧倒的な存在感。

マシュー・マコノヒー。
ジャックの兄で頭のきれる新聞記者ウォード。
終始漂う不穏な空気から、一見まともなウォードにも何かあるんじゃないかとは思っていたが・・そうきたか。
詳しくは書かないけど、超ド級のド○○でした。
顔の傷の理由もこれだった・・
けれどそんな自分に苦しみ堕落してしまう人間くささがあり、弟の事を守る優しい兄でもある、
そんな複雑なウォードを熱演。

そしてニコール・キッドマン!!
普段の気品ある美しさはどこへやら。
思わず顔をしかめてしまう清清しいまでのビッチっぷりに目を見張る。
退屈な田舎町で極彩色の衣装を身にまとい、周囲を挑発するかのようなふしだらな色気を発散させる金髪の女
ただのいかれたアバズレかと思いきや、
ジャックが彼女に恋人と母親を同時に求める気持ちが理解できてしまいそうな母性を垣間見せるからこれまた始末が悪い。

今思い出しても本当に豪華。。


腐った果肉を掻き分けてみてもそこには何もありはしない。
甘い腐臭をはなつ果肉にまみれた指が残るだけだ。
結果ではない。
この映画はその過程の、不埒で淫靡な人間模様を楽しむ映画だと思う。

とにかくこんなにも嫌悪感に襲われながらも、こんなにも目が離せない映画は久しぶり。
映画だからこそ、このふしだらで禍々しいひと夏を垣間見て楽しんでほしい。
この感覚がわかる人には何が何でも見てもらいたい最高に刺激的な傑作だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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