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アンチヴァイラル (2012)

ANTIVIRAL

監督
ブランドン・クローネンバーグ
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2.78 / 評価:128件

解説

鬼才デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグが長編の初メガホンを取ったSFサスペンス。有名人から採取したウイルスが売買される近未来を舞台に、その密売に関与した注射技師が陰謀に巻き込まれる姿を追う。『ハード・ラッシュ』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウェルらが出演。異様な設定や世界観など、クローネンバーグ監督の手腕に期待。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

著名人本人から採取された病気のウイルスが商品として取引され、それをマニアが購入しては体内に注射する近未来。注射技師シド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、持ち出した希少なウイルスを闇市場で売りさばきつつ、自身も究極の美女ハンナ(サラ・ガトン)のウイルスを投与していた。そんなある日、ハンナが謎の病気で急死したのを機に、異様な幻覚症状に襲われる。未知のウイルスの宿主でもあるからなのか、何者かに追われるようにもなったシド。休むことなく続く幻覚と追撃に疲弊する中、彼は自分を取り巻く陰謀の存在に気付く。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012 Rhombus Media(Antiviral)Inc.
(C)2012 Rhombus Media(Antiviral)Inc.

「アンチヴァイラル」親から子への強烈な映画ウイルスの移譲

 あこがれのアイドル、あるいはセレブとの究極の同化とはなにか? と考えた時、そのひとつにAが風邪をひいたら同じ風邪をひいてみたい、というのがあるかもしれない。いや、あるのだ。憧れの対象と同じ病気にかかりたい、ひどくこじれたこうしたファン、マニア心理にはリアルがある。その心理を突いて、当のアイドル、そしてセレブから採取したウイルスを培養、ファンの客に接種という形で発症させ、同化の快楽を与える医学産業を存在させたのが、このブランドン・クローネンバーグのデビュー作「アンチヴァイラル」である。このアイデア1本でストーリーを考え抜く潔さがいい。近未来SFとか考えず、現在世界へのブラックで変態的な批評と考えたほうがいい。

 そういえば、どこかで似たようなウイルス移譲話を見たことが……と考えたら、そうだ、昔、ドラえもんが糸電話を使って風邪ウイルスを移すというエピソードがあったことを思い出した。あまりに健康すぎて風邪をひいてみたい男に風邪を移し、両者万々歳となった、と記憶する。

 ドラえもんはいざ知らず、医学ホラー寄りのブランドンの世界がそんな<いい話>に落とし込まれるわけがない。ブランドンの父親が若き日に「ラビッド」「ヴィデオドローム」といったグロテスクな肉体変容の映画を連発したあのデビッドということを知れば、事態はただちに納得されるだろう。「ヴィデオドローム」同様の<新しい肉体>哲学を息子もマルコム・マクダウェル(「時計じかけのオレンジ」他)の台詞を通して語ったりもするのである。親から子への強烈な映画ウィルスの移譲というしかない。主人公に扮したケイレブ・ランドリー・ジョーンズの病弱なたたずまい、白を基調とした室内セットが効いている。(滝本誠)

映画.com(外部リンク)

2013年5月9日 更新

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