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甘い鞭 (2013)

監督
石井隆
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3.20 / 評価:152件

解説

人気作家・大石圭の小説が原作の官能スリラー。拉致監禁された過去を持つ女医にしてSM嬢をめぐり、異様な物語が展開する。監督は『フィギュアなあなた』などの鬼才、石井隆。『私の奴隷になりなさい』などの壇蜜が、大人の魅力を振りまきながらヒロインの奈緒子を熱演する。彼女の少女時代にふんしたグラビアアイドルの間宮夕貴、名優竹中直人ら、共演陣にはバラエティーに富んだ顔ぶれが集結。過激なエロス描写に加え、過去と現在が巧みに交錯する緻密なストーリー展開に引き込まれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

美しき不妊治療医として活躍する一方で、SMクラブのM嬢セリカとしての顔を持つ奈緒子(壇蜜)。さらに彼女には、17歳の頃に隣に住む男性によって拉致監禁され、1か月にわたって陵辱を受けた果てに、男を殺害して逃げ出したという壮絶な過去があった。奈緒子として不妊の治療にあたり、セリカとしてさまざまな客の欲望を受け止めていく日々を送る中、壮絶な過去の記憶とそれによって抱えることになったトラウマにさいなまされるようになり……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013「甘い鞭」製作委員会
(C)2013「甘い鞭」製作委員会

「甘い鞭」過激なエロティック・ホラーと哀切きわまりないメロドラマの融合

 内気な純情男のフェティッシュな究極の夢想を紡いだ「フィギュアなあなた」(2013)と同時期に連続で、過激なSM描写に終始するホラー・サスペンス「甘い鞭」を撮り上げてしまう石井隆は、やはり今の日本映画界において並ぶものなき異才だ。

 昼は不妊治療の女医で、夜はSMクラブのM嬢という二重生活を送る奈緒子(壇蜜)は17歳の時に、近所の男に拉致され、地下室で凌辱されるという凄惨なトラウマを抱えている。

 石井隆は、あえて劇中人物ではない喜多嶋舞をナレーションの主体にすることで、現在と過去が引き裂かれてしまった壇蜜演じるヒロインの寄る辺なさ、浮遊している気分をあざやかにすくいとっている。

 そのいっぽうで、奈緒子のおぞましき事件の内実を過剰なまでの執拗さで描き出す。全篇、傷痕と血にまみれた痛々しい裸体を晒し続ける少女時代を演じた間宮夕貴の肝が据わった存在感には圧倒される。

 この映画では、通常の回想形式のようには過去は、現在とは滑らかに直結せず、常に現在を食い破るように侵犯してくるのだ。やがて奈緒子が地下室を脱出する刹那に味わった奇妙な“甘い味”の記憶が浮上する。それは上客である醍醐(竹中直人)の命令で、立場を逆転させ、奈緒子がSMクラブの女王・景子(屋敷紘子)をサディスティックに鞭打つシーンでようやく像が鮮明となる。さらに真正サディストの登場で、奈緒子の裂けてしまった過去と現在が一挙に統合される苛烈なクライマックスへ――。

 石井隆は、被虐と加虐の淵をさまようヒロインを追いつめながら、いつも通り哀切きわまりない宿命的なメロドラマとして見事に完結させている。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2013年9月12日 更新

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