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女信長 (2013)

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3.33 / 評価:58件

意外に萌えた女信長。

  • 晴雨堂ミカエル さん
  • 2013年9月1日 8時48分
  • 閲覧数 1485
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

 天海祐希氏は光源氏の役を務めた事があった。2001年公開「千年の恋 ひかる源氏物語」で、私には激し違和感をおぼえたものだ。いくら元宝塚歌劇団男役スターでも、出演者全員女子のタカラヅカと違い通常の映画に主役1人だけ女優が男の役というのは無理があったし、時代考証も無茶苦茶だったように記憶している。しかも光源氏はプレイボーイ、作中で天海祐希氏は苦心して共演女優との契りも演じていたが不自然極まり。おまけに共演女優の芸能界におけるポジションが低いほど露出度が大きいのが露骨で、そういう意味では面白かった。
 
 本作の話を聞いた時、「ひかる源氏」の悪夢がよみがえった。そのため本放送時は観るつもりはなかった。ところが、なにげにチャンネルを押していたら本作佳境で秀吉が女信長を脅迫している場面が出てきた。

 なんだ、おもろいやんけ。

 「ひかる源氏」の時は女優が「男」を演じていたが、今回は「男の振りをする女」だったので意外に違和感は無かった。女である事をひた隠しにして男として振る舞う信長の姿が、ストレス多い芸能界で猛女のように生きる天海祐希と妙にマッチングしていたのだ。
 物語の設定も面白かった。戦に明け暮れる男の世を終わらせるのは女の天命、楽市楽座は台所感覚を身に着けている女だからこその発想、非力な人間でも戦えるための鉄砲隊、女信長の設定はなかなか理に適っている。(余談1)

 人によっては、女信長を演じる様がタカラヅカみたい、と思うかもしれない。似たような物語に手塚治虫氏の「リボンの騎士」があるがあれは宝塚歌劇をイメージされて描かれたものだった。宝塚歌劇団出身の天海祐希氏と「リボンの騎士」のような出だしにタカラヅカを連想してしまうのは至極当然だ。
 
 だが、今回の天海祐希氏の男ぶりは異なる。宝塚歌劇をご覧になった方なら判ると思うが、男役には一種の「型」がある。世間一般の男性を演じているのではなく、宝塚歌劇の男役を演じているのだ。
 女信長は宝塚の男役ではない。もっと屈折した男社会の重圧に耐えながら男として振る舞う女傑を演じているので、雛型がある宝塚男役ではなく、華やかな裏でドロドロしたストレスの重圧がある芸能界で生きる天海祐希の男性的な地がヒステリックに出てとても素敵で萌える。
 天海信長が癇癪おこして家臣を叱責したり、戦場(いくさば)で「裏切り者は根絶やしにせよ!」と怒鳴る様は、ストレス解消になってスカッとする。
 
 ただ、信長モノのフィナーレである本能寺の変(余談2)をもっと華々しくしてほしかった。弓を射る格好が大人し過ぎる。もっと鬼のような狂気顔で大股開いて欄干を片足で抑え本宮漫画のようにオーバーアクションで射てほしかった。また、鉄砲も何発か撃ち、傍で家臣たちが忙しく弾込め作業をする様を描写してほしかった。

(余談1)時代劇では体格のよくて男臭い二枚目男優が信長を演じることが多いが、実際に信長と面談した宣教師の報告書には、信長の声は甲高くてボーイソプラノ、華奢な身体つき、髭が薄い、といった身体的特徴が書かれていたそうである。
 つまり、史実的にも天海祐希氏の信長は意外にアリなのかもしれない。いや、ひょっとしたら本当に信長は女だった可能性も無きにしも非ず。
 
 元恋人浅井長政が謀反を起こした時に女信長が「わしが女だとバラしはすまいか」と危惧する場面がある。そこを表向きは正室で裏向きは親友である御濃が「強い男である信長を倒してこそ天下がとれる、負けるにしても女ごときに負けたら屈辱、だから長政殿にとっても信長は男でなければ困る(だからバラさない)」と助言する場面がある。なるほど目から鱗だ。またこの濃姫の存在も素敵だ。

(余談2)信長と光秀が恋仲、そんな奇想天外の物語は80年代初頭にもあった。当時白泉社で漫画を発表していた佐々木けいこ氏のギャグマンガ信長君シリーズである。タイトルは「本能寺の恋」。「変」と「恋」を掛け合わすとは巧いタイトル。
 白けるギャグが機関銃のように連発するので、トータルで面白い作品に仕上がっていた。

詳細評価

物語
配役
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映像
音楽

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