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そして父になる (2013)

監督
是枝裕和
  • みたいムービー 560
  • みたログ 5,502

3.60 / 評価:3,682件

そして余韻が残る。

  • n19***** さん
  • 2013年8月21日 16時38分
  • 閲覧数 27960
  • 役立ち度 201
    • 総合評価
    • ★★★★★

試写会にて鑑賞。
まだ余韻が残っています・・・

私も含め観客ひとりひとりに多くのことを
考えさせる味わい深い作品だと思います。

6年間(当然のことながら自分の子供と信じて疑わず)
育ててきた息子は出産時に取り違えられた他人の子だった・・・
という親なら誰もがゾーッとするお話。

日常生活に突如割り込んできた恐ろしい事態に
福山さん・尾野真千子さん夫婦、
リリーさん・真木ようこさん夫婦の人生が狂い始めていきます。
しかも映画本編で描かれる「赤ちゃん取り違え」の真実は、
身の毛もよだつスリラー映画のようで、背筋が凍ります・・・

こんなことを実体験するのは絶対に嫌ですが、
この映画を観た方の大部分が、
もし自分に降りかかったら・・・自分ならどうするのか・・・
と深く考えながら見ることになると思います。
本編にも何度も出て来ますが「一緒に過ごした年月(情)なのか」
「血の繋がり(DNA)なのか」で主人公は悩みます・・・

散々悩んだ末に出した結論が(ま、映画として理想的な結末だとは思いますけど)
涙を誘い、自分も頬を濡らしました。

キャストも豪華で安心感満載。
福山さんはエリート街道を突き進み何もかも手に入れた男を
かなりドライに演じています。

福山さんの奥様役には「カーネーション」尾野さん。
映画の中で一番グラデーションが効いているのが尾野さんの役のような気がしました。
エリート志向の夫を静かに支えている姿が、本編が進むにつれ子供への愛情だけを
考え、ものすごく強い母親に変わっていきます。

福山さんと対照的な父親像がリリーさん。
リリーさんが登場するとなにかしら会場から笑いが起こります。
決して裕福ではない生活ですが、子供たちには愛情を注ぐ心優しい父親。
気取ったり、カッコつけたりは一切しない子煩悩。

リリーさん同様、子供たちとガッツリ向き合う
肝っ玉母ちゃんを真木よう子さんが大らかに演じます。
子供達もお母さんが大好きです。

あくまで個人的な好みですが、奥様役に関しては
尾野さんと真木さんを入れ替えたキャスティングの方が
更によかったのでは?と思いました。
余談ですが。

演出・脚本は鬼才 是枝裕和監督。
冒頭からエンドロールまでヒリヒリと緊張感のある演出で、
静かに進む映画にもかかわらず、終始ドキドキしっぱなしでした。

今回登場する二つの家庭は、わかりやすいくらい
対照的に設定されているのもこの映画の良さです。
リッチな家庭なのか、プアだけど仲良し家族なのか。
仕事重視なのか、家庭重視なのか・・・

自分はどちらの家庭に近いのか、無意識のうちに
考えてしまうと思います。

恐らくこの2つの家庭の良いところがMIXされた家庭が
世間一般的に理想の家族なのでしょうけど。

よくある親子喧嘩のイメージで
「好きでこの家に生まれた訳じゃない!」
「こんな子なら産まなきゃよかった!」などと親子がそれぞれに対し
売り言葉に買い言葉的な言い合いをしたりしますが
この映画を見たら、そんなことを言えなくなるかもしれません。

日々当たり前と思いこんでいる状況が一変する恐怖。
この映画は感動作という皮を被ったホラー(スリラー)映画のような気もします。

単純な感動作や娯楽作ではないこの作品、私は非常に胸に刺さりました。
そして名作になる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 泣ける
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  • 絶望的
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